貧血のある透析患者へのバダデュスタット、安全性・有効性は?/NEJM

貧血を有する透析治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬バダデュスタットは、ダルベポエチン アルファと比較して、心血管安全性とヘモグロビン(Hb)値の正常化および維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のKai-Uwe Eckardt氏らが、2件の第III相無作為化非盲検非劣性試験(被験者計3,923例)の結果を報告した。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。
新規または長期の透析CKD患者についてダルベポエチン アルファと比較
試験は、貧血を有する新規または長期の透析CKD(DD-CKD)患者を対象に、ダルベポエチン アルファと比較したバダデュスタットの安全性と有効性の評価を目的に行われた。安全性に関する主要評価項目は、初発の主要有害心血管イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)で、2件の試験(新規DD-CKD試験、長期DD-CKD試験)を統合し、time-to-event解析により評価した(非劣性マージン:1.25)。主な副次評価項目は、初発のMACE+入院(心不全あるいは血栓塞栓イベントによる)であった。
有効性に関する主要評価項目および主な副次評価項目は、24~36週および40~52週の2つの評価期間におけるHb値のベースラインからの平均変化量とし、2件の試験それぞれで評価した(非劣性マージン:-0.75g/dL)。
初発MACEの発生に関するハザード比0.96
2試験の計3,923例が1対1の割合で無作為化を受け、バダデュスタット群またはダルベポエチン アルファ群に割り付けられた。新規DD-CKD試験集団は369例、長期DD-CKD試験集団は3,554例であった。プール解析において、初発MACEの発生は、バダデュスタット群355例(18.2%)、ダルベポエチン アルファ群377例(19.3%)であった(ハザード比:0.96、95%信頼区間[CI]:0.83~1.11)。
新規DD-CKD試験集団において、Hb値変化量の両治療群の平均群間差は、24~36週時評価で-0.31g/dL(95%CI:-0.53~-0.10)、40~52週時評価で-0.07g/dL(-0.34~0.19)であった。長期DD-CKD試験集団では、同平均群間差はそれぞれの評価時点で、-0.17g/dL(-0.23~-0.10)、-0.18g/dL(-0.25~-0.12)であった。
バダデュスタット群の重篤な有害事象の発現は、新規DD-CKD試験集団で49.7%、長期DD-CKD試験集団で55.0%であった。ダルベポエチン アルファ群では、新規DD-CKD試験集団で56.5%、長期DD-CKD試験集団で58.3%であった。
(ケアネット)
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バダデュスタットの透析患者での有用性はダルベポエチン アルファと同等(解説:浦信行氏)-1395
コメンテーター : 浦 信行( うら のぶゆき ) 氏
札幌西円山病院 院長
J-CLEAR評議員