急性心不全、包括的な血管拡張薬投与は予後を改善するか?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/01/07

 

 急性心不全(AHF)患者に対する血管拡張薬の早期集中・継続的な投与戦略について、通常ケアと比較して、180日時点の複合アウトカム(全死因死亡およびAHFによる再入院)を改善しないことが、スイス・バーゼル大学のNikola Kozhuharov氏らによる国際共同非盲検無作為化盲検エンドポイント試験「GALACTIC試験」の結果、示された。通常、一定用量で投与する血管拡張薬の単剤・短期投与では、AHF患者のアウトカムは改善されない。研究グループは、AHF患者の確立されている血管拡張薬について、個別化された用量漸増にて早期集中・継続的な投与という治療戦略の有効性を検証した。JAMA誌2019年12月17日号掲載の報告。

通常ケアと比較し、180日時点の全死因死亡またはAHF再入院を評価

 試験には、スイス、ブルガリア、ドイツ、ブラジル、スペインの3次または2次医療機関10病院にAHFで入院した788例が登録された。呼吸困難を伴い、血漿ナトリウム利尿ペプチド値上昇、収縮期血圧100mmHg以上が認められ、一般病棟で治療を受けることが計画された患者であった(2007年12月登録開始、2019年2月フォローアップ完了)。

 被験者は、入院期間中に早期集中・継続的な血管拡張薬の投与戦略を受ける群(介入群、386例)または通常ケアを受ける群(対照群、402例)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 介入群には、血管拡張薬の最大限および継続的な投与が行われた。具体的には48時間にわたる個別化された用量での舌下および経皮性の硝酸塩投与、低用量の経口ヒドララジン投与と、ACE阻害薬、ARB、sacubitril-バルサルタンの迅速漸増投与を組み合わせた包括的な実利的アプローチであった。

 主要エンドポイントは、180日時点の全死因死亡またはAHFによる再入院の複合とした。

介入群30.6%、対照群27.8%、補正後ハザード比1.07

 無作為化を受けた788例のうち781例(99.1%、年齢中央値78歳、女性36.9%)が、試験を完了し主要エンドポイントの解析に含まれた。180日時点でフォローアップを完了したのは779/781例(99.7%)であった。

 主要エンドポイントの発生は、介入群117例(30.6%)、対照群111例(27.8%)であった(絶対群間差:2.8%[95%信頼区間[CI]:-3.7~9.3]、補正後ハザード比[HR]:1.07[95%CI:0.83~1.39]、p=0.59)。死亡はそれぞれ55例(14.4%)、61例(15.3%)であった。

 最も頻度が高い臨床的に重大な有害事象は、低カリウム血症(介入群23% vs.対照群25%)、腎機能の悪化(21% vs.20%)、頭痛(26% vs.10%)、めまい(15% vs.10%)、低血圧症(8% vs.2%)であった。

(ケアネット)