1型DMリスク乳児に加水分解粉ミルクの影響は?/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/01/18

 

 遺伝的に1型糖尿病のリスクがある乳児に対し、離乳後にカゼイン完全加水分解粉ミルクを与えても、通常の粉ミルクを与えた場合と比べて1型糖尿病発症リスクは変わらないことが示された。フィンランド・ヘルシンキ大学のMikael Knip氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「TRIGR」の結果で、JAMA誌2018年1月2日号で発表された。これまでの研究で、複合的な食品含有タンパク質の早期曝露が、1型糖尿病のリスクを高める可能性が示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「1型糖尿病リスクのある乳児に対する食事の推奨を、修正する必要性を支持する所見は示されなかった」とまとめている。

粉ミルクを60日以上投与し1型糖尿病リスクを比較
 研究グループは2002年5月~2007年1月にかけて、15ヵ国78ヵ所の試験参加センターを通じて、ヒト白血球型抗原(HLA)関連疾患への感受性が高く、第1度近親者に1型糖尿病患者がいる乳児2,159例を対象に試験を行った。

 被験者を無作為に2群に分け、一方にはカゼイン完全加水分解の粉ミルクを(1,081例)、もう一方には通常の粉ミルク(80%)と完全加水分解粉ミルク(20%)の混合を(1,078例)、それぞれ投与した。粉ミルク投与期間は、月齢6~8ヵ月までの60日以上とした。2017年2月末まで追跡を行った。

 主要アウトカムは、WHO基準による1型糖尿病の診断。副次評価項目は、同診断時の年齢、安全性(有害事象)などだった。

1型糖尿病発症リスクは両群とも約8%
 被験者のうち、女児は47.3%(1,021例)で、試験を完了したのは80.8%(1,744例)だった。観察期間の中央値は11.5年(四分位数[Q]:10.2[1Q]~12.8[3Q])だった。

 1型糖尿病の絶対発症リスクは、加水分解粉ミルク群が8.4%(91例)に対し、通常粉ミルク群は7.6%(82例)で、有意差はなかった(群間差:0.8%、95%信頼区間[CI]:-1.6~3.2)。HLAリスクグループや授乳期間、粉ミルク投与期間、性別、試験地で補正後、ハザード比は1.1(95%CI:0.8~1.5、p=0.46)だった。

 1型糖尿病と診断された年齢の中央値についても、それぞれ6.0歳(3.1[1Q]~8.9[3Q])、5.8歳(同2.6~9.1)と、同等だった(差:0.2歳、95%CI:-0.9~1.2)。

 最も多く発症した有害事象は上気道感染症で、発症頻度はそれぞれ0.48件/年、0.50件/年だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)