小児のてんかん、外科的治療は有益か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/07

 

 脳外科手術を受けた18歳以下の薬剤抵抗性てんかん患者は、薬物療法のみを受けた患者と比べて、12ヵ月時点のてんかん発作がない割合が有意に高く、行動やQOLに関するスコアも良好であった。神経障害の発生は、脳切除部位に関連した想定内のものであったという。全インド医科大学のRekha Dwivedi氏らが単施設無作為化試験を行い、NEJM誌2017年10月26日号で発表した。脳外科手術は、薬剤抵抗性てんかんを有する小児・思春期の発作を改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験による、さらなるデータが求められていた。

18歳以下の薬剤抵抗性てんかん116例を対象に無作為化試験
 試験は2010年11月~2015年3月に全インド医科大学にて行われた。対象は、薬剤抵抗性てんかんを有する18歳以下の小児・思春期の患者116例で、てんかんの原因に適した脳外科手術と適切な薬物療法を行う群(手術群:57例)と、薬物療法のみを行う群(薬物療法群:59例)とに無作為に割り付けて追跡を行った。手術群の患者は無作為化後1ヵ月以内に施術を受け、薬物療法群の患者は脳外科手術の待機リストに登録され、無作為化後1年以上の時点での施術が計画された。

 主要アウトカムは、12ヵ月時点でのてんかん発作がない割合であった。副次アウトカムは、Hague Seizure Severityスケールスコア(範囲:13~54、高値ほど重症)、Binet-Kamat知能指数、Vineland Social Maturity Scaleによる社会性の指数(いずれも正常値範囲:85~110、高値ほど機能レベルが高い)、Child Behavior Checklistスコア(<60正常、60~63境界域、>63臨床的障害)、Pediatric Quality of Life Inventoryスコア(範囲:0~100、高値ほどQOLが良好)などであった。

薬物療法単独群と比べて、12ヵ月時点のてんかん発作がない割合に有意な差
 両群のベースライン特性に有意な差はなかった。手術群と薬物療法群を比較すると、平均年齢:9.0歳(SD 0.8~17.0)対10.0歳(2.0~17.0)、女子の割合:40%対32%、てんかん発作発症の年齢中央値:1.5歳(0.1~9.0)対3.0歳(0.1~10.0)、病歴期間:4.9年(0.4~16.3)対5.0年(0.5~16.0)などであった。

 手術群の手技は、側頭葉切除14例、非側頭葉病変の切除12例、半球離断15例、脳梁離断10例、視床下部過誤腫の離断または切除6例であった。

 12ヵ月時点で、てんかん発作がなかった患者は、手術群44例(77%)、薬物療法群4例(7%)であった(p<0.001)。
 ベースライン~12ヵ月の各スコア・指数の変化の群間差は、Hague Seizure Severityスケールスコア(差:19.4、95%信頼区間[CI]:15.8~23.1、p<0.001)、Child Behavior Checklistスコア(13.1、10.7~15.6、p<0.001)、Pediatric Quality of Life Inventory(21.9、16.4~27.6、p<0.001)、Vineland Social Maturity Scale指数(4.7、0.4~9.1、p=0.03)は手術群で有意に良好であったが、Binet-Kamat知能指数については有意な差は示されなかった(2.5、-0.1~5.1、p=0.06)。

 死亡例は両群ともなかった。重篤な有害事象は、薬物療法群では報告がなかったが、手術群で19例(33%)が報告された。そのうち15例(26%、半球離断例)は不全片麻痺であった。そのほか不全麻痺が2例(側頭葉切除または頭頂部限局性皮質異形成の切除例)、全身性の低血圧症1例(前頭葉切除例)、言語障害1例(前頭葉切除例)であった。

(ケアネット)