心臓植込み型電子機器の現状-米国より-/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/06

 

 米国FDAに市販前承認(PMA)の申請を行った心臓植込み型電子機器(CIED)は、初回承認後、継続的に補足申請を行い機器のデザイン変更などを行っていることが明らかになった。その期間は約15年の長期にわたるが、補足申請では、新規臨床データを提出する場合が少ないことも明らかになった。米国・ハーバード・メディカル・スクールのBenjamin N. Rome氏らが、FDAのデータベースを基に行った調査で明らかにしたもので、結果を踏まえて、「CIEDの厳格な市販後調査が重要である現状が浮き彫りになった」と報告している。JAMA誌2014年1月22・29日号掲載の報告より。

34年間の市販前承認データを調査
 米国FDAは、ペースメーカーや植込み型除細動器、心臓再同期療法のデバイスなどCIEDのような高度な医療機器についてはPMAによる評価を行い、その間にメーカーが安全性と有効性の臨床データを提出する仕組みとなっている。承認されたハイリスクデバイスの以降の変更は、補助申請を介して行うこととされているが、そのプロセスでの臨床試験は必要とされていない。

 そこで研究グループは、CIEDの変更申請の状況(変化率)とどのような変更がされているのか(特徴)を調べることとした。FDAのPMAに関するデータベースを基に、1979~2012年に承認を受けたCIEDについて、その補足申請の発生頻度や特徴などについて調査を行った。

 各補足申請について、補足申請内容の種別や変更内容などについて分析し、規制区分ごとの傾向などを調べた。

 重要なデザイン変更が含まれることの多い「180日以内補足申請」については、2010~2012年にかけて、追加臨床データが含まれている割合も調べた。
 
「180日以内補足申請」のうち臨床データを含む割合は23%
 1979~2012年にかけて、FDAが承認したCIEDのオリジナル申請は77件であった一方、補足申請は5,829件だった。オリジナル申請1件当たりの補足申請数の中央値は、50件(四分位範囲:23~87)だった。デザイン変更を必要としない製造元による変更を除き、補足申請の承認件数は年平均2.6件(標準偏差:0.9)と安定していた。

 PMAはまた、継続的な補足申請を行うことで、中央値15年(四分位範囲:8~20)にわたり有効だった。オリジナル申請を受けた77件のうち79%もが、2012年に1件以上の補足申請を行っていた。

 一方で2010~12年に承認を受けた「180日以内補足申請」のうち、安全性と有効性を示す新たな臨床データを含んでいたものは、64件中15件と、23%にとどまった。

 以上の結果を踏まえて著者は「臨床医が現在使用している多くのCIEDは、初回申請時のモデルではなく、PMA補助申請で承認されたものであることが明らかになった」と結論。そのうえで、「大半のデバイスは新たな臨床データがないまま、安全、有効であるとみなされている。厳格な市販後調査が重要である現状が浮き彫りになった」と指摘している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)