卵円孔開存を伴う片頭痛、抗血栓療法が有効か/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/10

 

 卵円孔開存(PFO)は片頭痛、とくに前兆を伴う片頭痛と関連し、微小塞栓メカニズムの関与の可能性が示されている。小規模な研究で抗血小板療法(アスピリン、P2Y12阻害薬)の有効性が示唆されているが、これらのエビデンスには一貫性がなく、多くは非比較研究だという。中国医学科学院・北京協和医学院のZiping Li氏らは「COMPETE試験」において、PFOおよび片頭痛を有する患者のレスポンダー率に関して、アスピリン、クロピドグレル、リバーロキサバンはメトプロロールに対し非劣性であり、このうちリバーロキサバンは大出血イベントを増加させずに、レスポンダー率が有意に優れることを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年7月29日号で報告された。

中国の無作為化実薬対照試験

 COMPETE試験は、抗凝固薬や抗血小板薬を含む抗血栓療法が、PFOを有する患者における片頭痛の予防に有益かの評価を目的に、中国の39施設で実施した研究者主導型の非盲検(評価者盲検)無作為化実薬対照・仮説生成型臨床試験であり、2022年10月~2024年12月に参加者を登録した(CAMS Innovation Fund for Medical Sciencesなどの助成を受けた)。

 対象は、年齢18~64歳、片頭痛の診断を受けてから1年以上が経過し、片頭痛が月に4日以上発現し、心エコー図検査でPFOが確認された患者であった。

 最大の解析対象集団984例(年齢中央値38.5歳、女性75.1%)を、アスピリン(247例:300mg、1日1回)、クロピドグレル(244例:75mg、1日1回)、リバーロキサバン(245例:20mg、1日1回)、メトプロロール(対照、248例:25mg、1日2回)の投与を受ける群に無作為に割り付け、12週間投与した。

 主要評価項目は、ベースラインから9~12週目における、月間の片頭痛の発生日数または発作回数が50%以上減少した参加者の割合(レスポンダー率)とした。

片頭痛完全消失率、MSQ総スコアも良好、大出血の発現なし

 ベースラインにおいて前兆を伴う片頭痛は234例(23.8%)に認められた。右左シャントは、グレード3(>30マイクロバブル)が586例(59.6%)、グレード2(10~30マイクロバブル)が233例(23.7%)、グレード1(1~9マイクロバブル)が165例(16.8%)であった。

 主要評価項目のレスポンダー率は、アスピリン群が61.7%(148/240例)、クロピドグレル群が66.8%(157/235例)、リバーロキサバン群が78.4%(185/236例)、メトプロロール群は61.8%(144/233例)であった。

 メトプロロール群との率差は、アスピリン群が1.0%(98.33%信頼区間[CI]:-9.9~11.8)、クロピドグレル群が4.7%(98.33%CI:-5.9~15.2)、リバーロキサバン群は16.2%(98.33%CI:6.0~26.4)であり、いずれも非劣性が示された(すべての非劣性のp<0.001)。また、メトプロロール群に比べリバーロキサバン群は、レスポンダー率が有意に優れた(優越性のp<0.001)。

 さらに、メトプロロール群と比較してリバーロキサバン群のみで改善を認めた副次評価項目として、片頭痛の発生日数の減少(群間差:1.0日、95%CI:0~2.0)と発作回数の減少(群間差:1.0回、95%CI:0~2.0)、12週時の片頭痛の完全消失率(率差:12.5%、95%CI:4.1~20.8)、片頭痛特異的な生活の質(QOL)質問票(MSQ)の総スコア(群間差:18.7点、95%CI:7.9~30.0)などが挙げられた。

 有害事象による介入中止は、アスピリン群で0例、クロピドグレル群で1例、リバーロキサバン群で2例、メトプロロール群で7例にみられた。試験薬関連の有害事象は、それぞれ48例(19.4%)、23例(9.4%)、42例(17.1%)、38例(15.3%)に認められた。

 重篤な有害事象は2件発生した。リバーロキサバン群の1件は試験薬関連、メトプロロール群の1件は関連なしと判定され、いずれも治療により回復した。大出血はいずれの群でも発現しなかった。消化器症状はアスピリン群で多かった(それぞれ11.7%、2.0%、2.4%、1.6%)。

塞栓が主因となる片頭痛のマーカーの可能性

 著者は、「全体として、抗血栓療法は、有害事象の明らかな増加を伴わずに、片頭痛関連のアウトカムにおいて臨床的比較可能性または意義のある改善と関連しており、良好なリスク・ベネフィットプロファイルが示唆される」「これらの知見は、PFOを有する患者における片頭痛の発症に、微小塞栓メカニズムが関与している可能性を示すもの」としている。

 また、「リバーロキサバン群で認めた数値上の優位性は、第1選択の予防治療に取って代わるエビデンスとしてではなく、むしろ塞栓が主因となる片頭痛の表現型を示す患者の特定に役立つ可能性のあるマーカーとして解釈すべきである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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