ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)において、StageIB~IIIAに対する術後アレクチニブの有効性が示されている。一方、局所進行例や切除不能StageIIIに対する周術期治療のエビデンスは限定的である。第3世代ALKチロシンキナーゼ阻害薬のロルラチニブは、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLCで高い有効性を示しており、術前治療としての有用性も注目される。
そこで、Chao Zhang氏(中国・Guangdong Lung Cancer Institute)らの研究グループは、ALK融合遺伝子陽性のStageIII NSCLCに対する術前ロルラチニブの有効性と安全性を検討する海外第II相試験「LORIN試験」を実施した。その結果、術前ロルラチニブは高い病理学的奏効率(MPR)を示し、切除不能StageIII患者のうち75%でコンバージョン手術が可能となった。本結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表された。
・試験デザイン:海外第II相単群試験(中国3施設で実施)
・対象:未治療のALK融合遺伝子陽性のStageIII NSCLC患者で、potentially resectableまたは切除不能の患者43例(potentially resectable 19例、切除不能24例)
・治療方法:ロルラチニブ100mg 1日1回を3サイクル(12週間)→手術または化学放射線療法などの局所治療→ロルラチニブ100mg 1日1回を最長2年間
・評価項目:
[主要評価項目]病理学的完全奏効率(pCR)
[副次評価項目]MPR、奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・年齢中央値は52歳で、男性の割合は27.9%であった。StageIIIAが37.2%、IIIBが51.2%、IIICが11.6%であった。
・43例中32例が手術を受けた。potentially resectable群では74%が手術を受け、切除不能群では75%がコンバージョン手術を受けた。
・病理学的奏効は、手術を受けた32例で評価された。pCRは46.9%に認められ、主要評価項目を達成した。MPRは81.3%であった。
・potentially resectable群と切除不能群に分けると、pCR/MPRはpotentially resectable群50%/86%、切除不能群44%/78%であった。
・MPRが得られた集団では、非MPR集団と比較して、腫瘍組織におけるPD-L1発現の中央値が高かった(MPR/pCR集団25%、非MPR集団1%、p<0.01)。
・画像評価による術前治療後のORRは84%(すべてPR)であった。
・追跡期間中央値13ヵ月時点において、局所再発が3例に認められたが、遠隔転移は認められなかった。
・1年EFS率は97.1%であり、OSイベントは認められなかった。
・術前治療期におけるGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は23%に発現した。減量に至ったTRAEは16%、中止に至ったTRAEは2%に認められた。
・術後または地固め療法期におけるGrade3/4のTRAEは21%に発現した。減量に至ったTRAEは24%、治療変更に至ったTRAEは12%に認められた。治療変更例はいずれもアレクチニブへ変更された。
(ケアネット 佐藤 亮)