がん患者の肺塞栓症診断、YEARSアルゴリズムは有効か?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/31

 

 がん患者における肺塞栓症(PE)の診断戦略について、YEARSアルゴリズムの使用はCT肺動脈造影(CTPA)のみ使用の場合と安全性は同等であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのBram Akerboom氏らHydra Study Investigatorsが実施した研究者主導の無作為化非盲検非劣性試験「Hydra試験」の結果で示された。同試験において22%の患者がYEARSアルゴリズムの使用でCTPAの実施を回避できたことも示された。YEARSアルゴリズムは、急性PEを除外する安全かつ効率的な方法とされているが、がん患者における精度に関する確固たるエビデンスは不足しており、現行のガイドラインでは直接CTPAを行うことが推奨されている。JAMA誌オンライン版2026年7月12日号掲載の報告。

活動性がんを有する急性PEが疑われる患者を無作為化

 Hydra試験はオランダ、イタリア、スイス、ベルギー、フランス、スペインの21施設で実施され、対象は、活動性がん(皮膚の基底細胞がんまたは扁平上皮がんを除く)を有し、臨床的に急性PEが疑われる18歳以上の患者であった。

 活動性がんの定義は、研究登録6ヵ月以内の組織学的な確定診断、または臨床医により強く疑われたがんの診断、登録時点でがんの治療中、無作為化前6ヵ月以内にがん治療が行われた、または転移病変の存在とされた。

 研究グループは、適格患者を、YEARSアルゴリズム(YEARS項目の評価、D-ダイマーの測定、およびリスクに応じたCTPAの実施で構成される)に基づく診断群(352例)と、CTPAのみによる診断群(346例)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、ベースラインでPEが除外された患者における無作為化後90日以内に発生した、症候性PE、症候性の上肢または下肢の深部静脈血栓症(DVT)(これらは確定されたもののみ)、あるいはPE関連死(関連が疑われたものを含む)で、非劣性マージンはper-protocol解析による絶対リスク群間差の片側99.9%信頼区間(CI)の上限2.6%とした。

 主要な副次評価項目は、CTPA陰性割合(実施されたCTPA件数のうちCTPAの結果が陰性であった割合)であった。

YEARSアルゴリズムはCTPA単独に非劣性

 2019年8月22日~2025年5月23日に、計698例が無作為化され(YEARS群352例、CTPA群346例)、最終追跡調査日は2025年8月21日であった。患者背景は、年齢中央値65歳(四分位範囲:56~72)、女性が422例(60%)で、104例(15%)がベースラインでPEと診断され、1例が追跡不能となった。

 per-protocol解析対象集団は555例であった。主要評価項目のイベントは、YEARS群で282例中5例(1.8%)、CTPA群で273例中15例(5.5%)に認められた。絶対リスク群間差は-3.7%(99.9%CI:-8.8~1.4)であり、YEARS群のCTPA群に対する非劣性が示された(非劣性のp=3.4×10-5)

 intention-to-diagnosis解析では、YEARS群とCTPA単独群の絶対リスク群間差は-2.6%であった(99.9%CI:-7.5~2.4、非劣性のp=5.9×10-4)

 YEARS群において352例中77例(22%)は、CTPAを実施せずにPEの診断が行われた。CTPA陰性割合は、両群とも83%であり差はなかった(p=0.93)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)