心血管疾患2次予防、LDL-C 55mg/dL未満の達成後も高Lp(a)は強力な残余リスクに/EAS2026

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/29

 

 欧州心臓病学会(ESC)などのガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防において、LDL-C 55mg/dL未満への厳格な管理を推奨している1)。しかし、依然として残る心血管リスク因子として、遺伝的要因の強いリポ蛋白(a)[Lp(a)]が注目されている。現在、具体的なLp(a)低下療法が確立されていない中、LDL-Cを徹底的に低下させることでLp(a)によるリスクをどこまで軽減できるか、とくに日本人患者における検証は不十分であった。

 ギリシャ・アテネで開催された欧州動脈硬化学会(EAS2026)にて、国立循環器病研究センターの片岡 有氏らの研究グループがこの課題に関する多施設共同研究「Lp(a)-JAPAN study」の成果を発表した。なお、本研究はEuropean Heart Journal誌オンライン版2026年5月24日号に同時掲載された。

 本研究は、2017年1月1日~2022年8月31日の期間に、国内3施設において経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行され、3年以上の臨床フォローアップが可能であった冠動脈疾患(CAD)患者1,581例を対象とした。PCIから2ヵ月後のLDL-CおよびLp(a)測定値を基準として、その後の予後との関連を評価した。主要評価項目はMACE(心臓死、非致死性心筋梗塞、非責任病変への臨床的に誘発された冠血行再建術)の発生率とした。追跡期間の中央値は5.1年であった。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象の1,581例の平均年齢は68.3歳、女性23.6%、Lp(a)値の中央値は12.8mg/dLであった。
・LDL-C 55mg/dL以上の患者(1,069例)におけるMACE発生率は21.3%であった。そのリスクはLp(a)レベルの上昇に伴って有意に増加した(100人年当たり、Lp(a) 30mg/dL未満で3.9、30〜50mg/dL未満で7.9、50mg/dL以上で11.0、log-rank p<0.001)。
・LDL-C 55mg/dL未満を達成した患者(512例)におけるMACE発生率は4.3%と有意に低かった(p<0.001)。しかし、Lp(a)レベルの高値は、MACEの高リスク患者を明確に特定した(100人年当たり、Lp(a) 30mg/dL未満で1.4、30〜50mg/dL未満で4.7、50mg/dL以上で7.5、p<0.001)。
・5年標準化MACE発生率では、Lp(a) 30mg/dL未満の群の5.0%に対し、Lp(a) 30〜50mg/dL未満の群では17.0%(調整ハザード比[aHR]:3.80、95%信頼区間[CI]:1.78~8.11、p<0.001)、Lp(a) 50mg/dL以上の群では33.4%(aHR:6.90、95%CI:3.53~13.46、p<0.001)と高値を示した。
・ROC曲線分析の結果、将来のMACE発生を予測するLp(a)の閾値(カットオフ値)は28.2mg/dL以上であることが判明した(p<0.001)。

 研究グループは、ガイドラインが推奨する厳格なLDL-C低下療法がLp(a)に起因する心血管リスクを部分的に軽減するものの、完全に消失させることはできず、Lp(a)が独立した重大な残余リスク因子であることを実証したと結論付けた。

 現在海外で進行中の新規Lp(a)低下薬(RNA薬など)の臨床試験では、登録基準となるLp(a)の閾値が一律で高く設定されている(60~80mg/dLに相当)。しかし、本研究で判明した日本人CAD患者におけるリスク閾値(28.2mg/dL)は欧米人より大幅に低い。そのため、欧米人より低いLp(a)レベルでも脆弱性を持つ集団を対象とした新たな臨床試験を行う必要があると論文内で指摘されている。

(ケアネット 古賀 公子)

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