抗うつ薬治療期間と心臓突然死リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/25

 

 抗うつ薬は、世界で最も使用されている薬剤の1つである。これまでの研究において、抗うつ薬の使用と心血管系有害事象との関連が示唆されている。しかし、抗うつ薬の治療期間や治療開始時期が心臓突然死リスクに及ぼす影響は明らかになっておらず、臨床的なリスク層別化ができていなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJasmin Mujkanovic氏らは、抗うつ薬治療の累積期間と開始時期が心臓突然死リスクと関連しているかどうか、また、その関連性が薬剤クラスによって異なるかどうかを調査するため本研究を実施した。Heart Rhythm誌オンライン版2026年3月12日号の報告。

 2010年にデンマーク在住で18~90歳の430万人を対象とした全国コホート研究を実施した。抗うつ薬の使用状況は、同国の処方箋レジストリ(1999~2009年)で確認した。死亡は、心臓突然死、それ以外に分類した。ハザード比(HR)の推定には、多変量Cox回帰モデルを用いた。抗うつ薬の使用は、1年間で2回以上の処方を受けた場合と定義し、累積使用期間(1~5年vs.6年以上)と開始時期(過去、最近、現在)で分類した。

主な結果は以下のとおり。

・心臓突然死は6,002件で発生した。そのうち1,907件(32%)が抗うつ薬使用患者であった。
・調整HRは、使用期間1~5年で1.41(95%信頼区間[CI]:1.31~1.51)、使用期間6年以上で1.74(95%CI:1.59~1.90)であった。
・時間経過に伴うリスクの勾配が認められた。抗うつ薬を現在使用していた患者は、最近および過去に使用していた患者と比較し、最もリスクが高かった。
(現在)HR:1.71、95%CI:1.59~1.83
(最近)HR:1.24、95%CI:1.09~1.42
(過去)HR:1.11、95%CI:0.97~1.27
・この関連性は、薬剤クラス間で一貫していた。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬:
(1~5年間)HR:1.38、95%CI:1.28~1.49
(6年以上)HR:1.57、95%CI:1.42~1.75
三環系抗うつ薬:
(1~5年間)HR:1.24、95%CI:1.09~1.42
(6年以上)HR:1.40、95%CI:1.15~1.71

 著者らは「長期にわたる抗うつ薬治療は、主な薬剤クラス全体において、治療期間および治療開始時期に依存して心臓突然死リスクの増加と関連していた。因果関係を断定することはできないものの、これらの結果は、長期にわたる抗うつ薬治療を受けている患者が心血管リスクの高い集団であることを示しており、さらなる研究が必要であることを示唆している」としている。

(鷹野 敦夫)