PSSA菌血症、ペニシリンG vs.抗ブドウ球菌ペニシリン/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/09

 

 ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)菌血症の治療について、90日死亡率に関するベンジルペニシリン(ペニシリンG)の抗ブドウ球菌ペニシリン(flucloxacillinまたはクロキサシリン)に対する事前既定の非劣性基準は満たされなかった。しかし、非劣性の事後確率は96.1%であり、急性腎障害(AKI)のリスク低減が認められたことが、オーストラリア・メルボルン大学のJoshua S. Davis氏らStaphylococcus aureus Network Adaptive Platform(SNAP)Trial Groupによる、研究者主導の国際的な多施設共同無作為化非盲検試験「SNAP試験」の結果で示された。過去にはまれであると考えられていたPSSA菌血症が世界的に再興している。ペニシリンGは薬物動態や有害事象の面で優れる可能性があるが、検出できないペニシリン耐性への懸念から、重症感染症には抗ブドウ球菌ペニシリンを基本とする抗菌薬治療が推奨されている。Lancet誌オンライン版2026年6月17日号掲載の報告。

90日時点の全死因死亡についてペニシリンGの非劣性を評価

 SNAP試験は8ヵ国(オーストラリア、カナダ、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、シンガポール、南アフリカ共和国、英国)で実施されている現在進行中の試験で、複数の臨床疑問に取り組んでいる(ジャーナル四天王「MSSA菌血症、セファゾリンは抗ブドウ球菌ペニシリンに非劣性/NEJM」)。本論では、黄色ブドウ球菌菌血症に対する複数の治療(例:抗菌薬治療、クリンダマイシン併用療法、早期の経口薬への切り替えなど)を評価している研究グループの、抗菌薬治療のPSSAに関する結果が報告された。

 研究グループは8ヵ国の67病院に黄色ブドウ球菌菌血症で入院したあらゆる年齢層の患者を登録し(本論では18歳以上の成人に関する結果を報告)、ペニシリンG投与群、flucloxacillinまたはクロキサシリン投与群のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付け、ペニシリンGの非劣性を評価した。推奨標準投与量は、ペニシリンGが1.8g(4時間ごと)または2.4g(6時間ごと)静脈内投与、flucloxacillinは2.0g(6時間ごと)静脈内投与、クロキサシリンは2.0g(4時間ごと)静脈内投与。クロキサシリンはflucloxacillinが承認されていない国(カナダ、イスラエル、シンガポール、南アフリカ共和国)でのみ使用された。

 主要アウトカムは、試験登録後90日時点の全死因死亡であり、データが得られた全患者を対象とするITT集団で評価した。解析には階層ベイズロジスティック回帰モデルが用いられ、ペニシリンGの非劣性は補正後オッズ比(OR)が1.20未満であることと定義した。解析は、500例の被験者が90日間の追跡期間を完了するごとに行われた。

90日死亡率のaORは0.67、AKI発生のaORは0.50

 試験は第4回の中間解析後、データ安全性モニタリング委員会から、flucloxacillinまたはクロキサシリン群においてAKI増加が認められたことを理由に、早期の被験者登録の中断が要請され、2024年8月7日に終了した。

 2022年2月18日~2024年6月21日に、PSSAが検出された成人493例のうち適格基準を満たした281例が無作為化された(ペニシリンG群156例、flucloxacillinまたはクロキサシリン群125例)。患者背景は、年齢中央値67歳(四分位範囲:56~77)、87例(31%)が女性、194例(69%)が男性であった。

 主要アウトカムの90日死亡率は、ペニシリンG群21/152例(14%)、flucloxacillinまたはクロキサシリン群26/121例(22%)、補正後オッズ比(aOR)は0.67(95%信用区間[CrI]:0.35~1.28)であり、ペニシリンG群の非劣性の事後確率は96.1%、優越性の事後確率は88.9%であった。

 AKIの発生は、ペニシリンG群17/153例(11%)、flucloxacillinまたはクロキサシリン群27/124例(22%)、aORは0.50(95%CrI:0.26~0.94)であり、ペニシリンG群の非劣性の事後確率は99.8%、優越性の事後確率は98.4%であった。

 重篤な有害事象は、ペニシリンG群6/156例(4%)から7件、flucloxacillinまたはクロキサシリン群9/125例(7%)から10件が報告された。

 結果を踏まえて著者は、「成人PSSA菌血症の治療について、有効性改善の可能性および安全性が良好であるという観点から、flucloxacillinまたはクロキサシリンよりもペニシリンGを優先すべきであることが示唆された」とまとめている。

(ケアネット)