抗精神病薬の治療反応と関連する生物学的マーカーは?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/06

 

 精神疾患において抗精神病薬治療に反応しないことと関連する神経生物学的マーカーを明らかにすることは、転帰予測や新たな治療標的の特定に役立つ可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのBridget King氏らは、個々の参加者データおよびメタ解析を用いて、抗精神病薬治療に反応しない精神疾患患者と反応する患者との間で、神経代謝物質の差異を検討した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2026年6月24日号の報告。

 1980年1月1日〜2025年11月1日までに公表された研究を対象に、Web of Scienceより検索した。2024年8月以前に特定された適格な21件の研究の著者に対し、個々の参加者データの提供を依頼した。精神疾患における治療反応性別の神経代謝物質を検討した18件の研究より、本メガ解析のための個々の参加者データが提供された。これらの研究に加え、さらに5件の研究を、標準化平均差および変動性に関するメタ解析に含めた。個々の参加者データの解析には、研究をランダム効果とする線形混合モデルを用いた。サブグループ解析では、プロスペクティブデザインの研究および治療抵抗性患者のサンプルについて検討を行った。メタ解析用として、公表された各群の平均値および標準偏差を抽出した。内側前頭前野、背外側前頭前野、視床、基底核におけるグルタミン酸、グルタミン酸+グルタミン、コリン、ミオイノシトール、N-アセチルアスパラギン酸、γ-アミノ酪酸(GABA)、グルタチオンを測定し、その群間差を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・18件の研究より1,189例の参加者をメガ解析に含めた。
・その内訳は、治療非反応群が476例(平均年齢:33.0±12.5歳、男性:340例)、治療反応群が427例(平均年齢:30.3±11.5歳、男性:299例)、健康対照群が286例(平均年齢:31.0±12.5歳、男性:170例)であった。
・治療反応群と比較し、治療非反応群では、内側前頭前野におけるグルタミン酸(GlassΔ=0.21、p=0.02)、グルタミン酸+グルタミン(GlassΔ=0.29、p=0.002)、コリン(GlassΔ=0.22、p=0.03)、ミオイノシトール(GlassΔ=0.35、p=0.001)の濃度上昇が認められた。対照群との比較においても、同様の上昇が観察された。
・治療反応群と比較した治療非反応群における内側前頭前野のグルタミン酸+グルタミン濃度の上昇は、初回エピソード精神疾患患者を対象としたプロスペクティブ研究でも確認された(GlassΔ=0.41、p=0.002)。一方、ミオイノシトール濃度の上昇は、治療抵抗性の基準を満たす患者において最も顕著であった(GlassΔ=0.64、p=0.001)。
・23件の研究(1,844例)を対象としたメタ解析においても、抗精神病薬への治療反応群と比較して治療非反応群では、内側前頭前野のコリンおよびミオイノシトール濃度が上昇していることが確認された。

 著者らは「これらの知見は、精神疾患における抗精神病薬への治療非反応性と内側前頭前野のグルタミン酸、コリン、ミオイノシトール濃度の上昇との関連を示す証拠となる。これらマーカーの濃度上昇が認められることは、精神疾患および統合失調症に対するグルタミン酸に作用する介入や炎症経路に関連する介入のさらなる研究を支持するものである」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)