神経精神症状は、認知症で頻繁にみられ、機能低下、介護者の負担、死亡率の主要な要因となっている。症状が重症化したり、非薬物療法に反応しなくなったりすると、抗精神病薬を使用することが多いが、いまだに安全性への懸念が残っている。とくに、地域社会で生活する神経精神症状を有する患者において抗精神病薬の使用が生存率に及ぼす影響は依然として明らかになっていない。スペイン・Clinica Josefina ArreguiのKevin O'Hara-Veintimilla氏らは、認知症および神経精神症状を有する高齢者における抗精神病薬使用と全死亡率との関連性を検討するため、以前発表したシステマティックレビューおよびメタ解析の2次解析を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2026年2月10日号の報告。
本解析は、PROSPERO(CRD42024621462)に登録、コクランハンドブックに従って実施、PRISMA 2020ガイドラインに準じて報告された。神経精神症状が記録されている65歳以上の地域在住の認知症患者を対象に、抗精神病薬の使用と全死亡率の調整ハザード比(aHR)を報告した研究を適格な観察研究とした。プール推定値は、固定効果モデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・5件の観察コホート研究より抽出された1万4,183例を対象に解析を行った。
・抗精神病薬の使用と全死亡率との間に有意な関連は認められなかった(プールされたaHR:1.06、95%信頼区間[CI]:0.97〜1.16、p=0.21、I2=43%)。
・サブグループ解析では、定型抗精神病薬ではaHRが0.79(95%CI:0.62〜1.01)、非定型抗精神病薬ではaHRが1.23(95%CI:0.97〜1.56)であり、クラス間で有意差が認められた(p=0.03)。
著者らは「認知症および神経精神症状を有する地域在住高齢者において、抗精神病薬の使用と全死亡率の間に統計的に有意な関連は認められなかった。しかし、利用可能なエビデンスは限定的で不正確であるため、不確実性が大きかった。そのため、これらの知見は慎重に解釈する必要がある」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)