脳の老化はアルツハイマー病でどのくらい加速する?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/04

 

 脳の老化に伴う進行性の形態学的および神経生物学的変化は、アルツハイマー病などの神経変性疾患では著しく加速する。これらの変化を早期に検出し鑑別することは、診断、治療計画、治療法の開発においてきわめて重要である。米国・スティーブンス工科大学のShima Jalalian氏らは、加齢に伴う脳の萎縮に対する軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病の影響を明らかにするため、本研究を実施した。Annals of Biomedical Engineering誌オンライン版2026年3月24日号の報告。

 本研究では、タンパク質バイオマーカーの伝播と組織レベルの萎縮を連動させ、認知機能が正常な加齢、MCI、アルツハイマー病を鑑別するための計算マルチフィジックスフレームワークを開発した。本モデルにより、アミロイドβとタウタンパク質の拡散に関するネットワークベースのシミュレーションおよび脳力学の有限要素モデルを統合し、40年間にわたる脳形状の経時的変化をシミュレーションした。

 主な結果は以下のとおり。

・特筆すべきことに、アミロイドβの蓄積がタウによる変性よりも10年以上先行することが観察された。この所見は、経験的なバイオマーカー研究の結果と一致していた。
・本研究では、変位、皮質厚、曲率、溝の深さなど、脳形態の定量的指標であるメカノマーカーを複数導入した。これらは、疾患特異的な変形パターンを定量的に測定する指標として機能している。
・シミュレーションの結果、アルツハイマー病は正常な加齢と比較し、脳萎縮を約12年加速させ、内側側頭葉と後頭葉で早期に差異が生じることが予測された。

 著者らは「皮質厚と面積伸長は、正常な加齢と異常な加齢を区別するための早期かつ高感度なマーカーであることが示唆された。なかでも、縁上回と嗅内皮質は、早期に脆弱な領域として考慮すべきであると考えられる。本結果は、物理法則に基づいた計算モデルが、神経変性の早期発見に寄与し、領域特異的かつ病期特異的な診断ツールの開発を促進する可能性があることを強調するものである」としている。

(鷹野 敦夫)