非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC)における免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与タイミングについてスイス・ローザンヌ大学のSolange Peters氏が欧州肺がん学会(ELCC2026)で発表。午後投与は午前投与に対する非劣性を示した。
ICIの治療効果に、概日リズム(サーカディアンリズム)が与える影響については、長年議論されてきた。近年、ICIの抗腫瘍効果について、遅時間帯投与に比べ早時間帯投与で 臨床結果 が改善するという研究が、後ろ向き研究やメタアナリシスで示されている1-3)。しかし、現時点では、ほとんどのエビデンスは後方視的研究である。肺がんにおいては、第III相無作為化試験で早時間帯投与による生存改善が示された4)。しかし、同研究はプロトコールの不一致が指摘されるなど、さらなる検証が必要とされているという。
そのような背景から、ETOP(欧州胸部腫瘍プラットフォーム)とロシュによる共同研究であるi-TIMES試験が行われた。
同研究は、個々の患者データ(IPD)を用いた後方視的なマッチド・コホート患者レベル・メタ解析で、目的は午前投与に対する午後投与の非劣性評価である。解析対象となった試験は、ICI(アテゾリズマブ)対化学療法を無作為で比較したロシュ提供の第II/III相無作為化臨床試験(計8試験)である。マッチングされた患者は、ICIの投与タイミングによって、午前投与群と午後投与群に分類された。主要評価項目は全生存期間である。午前投与に対する午後投与の非劣性の限界値として、ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限を1.18に設定した。
主な結果は以下のとおり。
・ 8つの試験から3,060例を分析、最終的なマッチング解析コホートは1,550例となった。
・全体の32%が午後投与、41%が午前投与、28%は午前と午後が混在していた。解析には午前投与と午後投与だけが用いられている。
・主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、午前投与群で17.3ヵ月、午後投与群では16.0ヵ月あった。午前投与に対する午後投与のOSのHRは1.039、95%CIは0.925~1.168であった。95%CIの上限は、事前に設定された非劣性限界1.18を下回り、午後投与の非劣性が示されている。
・非マッチングの解析によるOS中央値では、午前投与18.5ヵ月、午後投与15.7ヵ月。HRは1.088で95%CIは0.982~1.207と、午後投与の非劣性は示されなかった。
Peters氏は「i-TIMES試験では、ICIの投与タイミングが治療効果の重要な決定要因となる可能性は低いという結果を示した。これにより、各施設の状況に応じた柔軟で実用的な治療スケジュールの設定によって、臨床アウトカムを損なうことなく治療が可能であることを示唆している」と結んだ。
(ケアネット)