精神疾患の病態生理学的メカニズムに、炎症が関与している可能性を示唆する膨大なデータが存在する。低用量アスピリンが向精神薬の治療効果を高める可能性が示唆されている。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのLior Stern氏らは、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、向精神薬と低用量アスピリンの併用レジメンの安定性およびその他の治療効果と関連しているかどうかを検討した。Pharmaceuticals誌2026年3月8日号の報告。
本レトロスペクティブ研究では、イスラエルのClalit Health Services' Southern Districtのデータベースより、2017〜19年に治療を行った1,924例の患者データを分析した。低用量アスピリンと向精神薬の併用療法で治療されたLDA群、向精神薬のみで治療された対照群での比較を行った。研究アウトカムは、自殺企図および薬物療法に関連する有害事象(向精神薬の増量、増強、変更)とした。
主な結果は以下のとおり。
・LDA群は137例(男性の割合:55%、年齢:63.3±12.3歳)、対照群は1,787例(男性の割合:60%、年齢:47±16.9歳)。
・ほぼすべてのアウトカムにおいて、統計学的に有意な差が認められ、LDA群において良好な結果が示された。
・LDA群は、薬剤投与量の増加率が低く(40例[29%]vs.726例[40.5%]、p=0.01)、向精神薬の変更および/または追加も少なかった(37例[26.9%]vs.778例[43.5%]、p<0.001)。また、有意差は認められなかったものの、自殺企図率も低かった(0例[0%]vs.16例[0.9%]、p=0.53)。
著者らは「全体として、低用量アスピリン併用療法は、双極症、統合失調症、統合失調感情障害患者において、より良好な臨床転帰と関連していた。向精神薬と低用量アスピリンの併用療法の治療効果を検証するためには、大規模な疫学調査およびプロスペクティブランダム化臨床試験によるフォローアップ調査が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)