ゾンゲルチニブは、未治療のHER2遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、管理可能な安全性プロファイルとともに高い抗腫瘍活性を示し、活動性脳転移を有する患者においても良好な頭蓋内活性を示した。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、John V. Heymach氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が、国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」のコホート2(未治療のチロシンキナーゼドメイン[TKD]の変異陽性患者)、およびコホート4(ベースライン時に活動性脳転移を有するTKDの変異陽性患者)の結果を報告した。なお、本試験の結果を基に、米国食品医薬品局(FDA)はHER2遺伝子変異陽性進行NSCLCに対する1次治療として、ゾンゲルチニブを2026年2月に迅速承認した。また、本邦でも同適応に関する適応追加申請が行われたことが、2026年3月に発表されている。
本試験は第Ia相と第Ib相で構成され、第Ib相の中間解析の結果から1日1回120mgの用量が選択された。今回は、未治療のHER2遺伝子変異(TKDの変異)陽性NSCLC患者コホート(コホート2)、ベースライン時に活動性脳転移を有するHER2遺伝子変異(TKDの変異)陽性NSCLC患者コホート(コホート4)のうち、1日1回120mgの用量で投与された患者の結果が報告された。有効性の主要評価項目は、コホート2がRECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)による奏効率(ORR)、コホート4はRANO-BM基準に基づくBICRによる頭蓋内奏効率(icORR)であった。
主な結果は以下のとおり。
・患者背景について、コホート2(74例)の年齢中央値は67歳で、ベースライン時に脳転移を有していた割合は30%であった。コホート4(30例)の年齢中央値は59歳であり、未治療の割合は27%であった。
・コホート2において、BICRによる確定ORRは76%(CR:11%、PR:65%)で、確定病勢コントロール率は96%であった。
・コホート2における奏効までの期間の中央値は1.4ヵ月であった。
・コホート2における無増悪生存期間(PFS)中央値は14.4ヵ月、奏効期間(DOR)中央値は15.2ヵ月であった。
・コホート4において、BICRによる確定icORRは47%、確定頭蓋内DCR(icDCR)は87%であった。脳への放射線治療歴がない患者(17例)における確定icORRは59%、確定icDCRは94%であった。
・コホート4における頭蓋内PFS中央値は8.2ヵ月、頭蓋内DOR中央値は6.9ヵ月であった。
・コホート2において、治療関連有害事象(TRAE)は91%(67例)に認められ、Grade3以上のTRAEは19%(14例)であった。
・コホート2で頻度の高かったTRAEは下痢(55%、Grade3:3%)、皮疹(24%、Grade3以上はなし)、ALT増加(18%、Grade3:4%)であった。
・コホート2において、有害事象による減量は16%(12例)、投与中止は9%(7例)に認められた。
本結果について、Heymach氏は「ゾンゲルチニブは、活動性脳転移を有する患者を含めて、HER2遺伝子変異陽性NSCLC患者において臨床的に意義のあるベネフィットを示し、Grade3以上のTRAEが非常に少なく管理可能な安全性プロファイルを示した」と結論付けた。なお、未治療のHER2遺伝子変異陽性進行NSCLC患者を対象として、標準治療との比較によりゾンゲルチニブの有用性を検証する国際共同第III相無作為化比較試験「Beamion LUNG-2試験」が進行中である。また、切除可能なHER2遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象として、術後補助療法におけるゾンゲルチニブの有用性を評価する国際共同第III相無作為化比較試験「Beamion LUNG-3試験」も進行中である。
(ケアネット 佐藤 亮)