Intermediate Stage(中間期)の肝細胞がん(HCC)に対して、TACE(肝動脈化学塞栓療法)が標準治療として広く用いられているものの、腫瘍負荷の高いHCCではその有効性は限定的である。TACE後にアテゾリズマブ+ベバシズマブを投与することで予後が改善する可能性があることが報告された。中国と日本のHCC患者を対象に行われたTALENTACE試験の結果を、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)のPresidential Sessionで近畿大学の工藤 正俊氏が発表した。
・試験デザイン:第III相非盲検無作為化試験
・対象:TACE適応、全身療法未治療のHCC患者、最大腫瘍径と病変数の合計が6以上
・試験群:TACE実施後、14日から8週間以内にアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと静脈内投与)及びベバシズマブ(15mg/kg、3週ごと静脈内投与)を投与(アテゾ+ベバ群)
・対照群:TACE単独(単独群)
[主要評価項目]治験責任医師が評価したTACE-PFS(TACE治療不能な進行、TACEの失敗/不応、または原因を問わない死亡までの期間)、全生存期間(OS)
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、安全性など
・データカットオフ:2025年2月28日
主な結果は以下のとおり。
・2021年3月~2023年8月に、342例がアテゾ+ベバ群(171例)と単独群(171例)に無作為に割り付けられた。
・追跡期間中央値26ヵ月時点において、アテゾ+ベバ群(11.3ヵ月、95%信頼区間[CI]:7.52~15.01)は単独群(7.0ヵ月、95%CI:5.32~8.41)と比較して、TACE-PFSの有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.71、95%CI:0.55~0.92、p=0.009)。
・TACE-PFSの有益性は、すべてのサブグループで一貫して認められた。
・PFSも有意な改善を示し、アテゾ+ベバ群では中央値10.3ヵ月、単独群では6.4ヵ月だった(HR:0.64、95%CI:0.50~0.82、p<0.001)。
・OSは未成熟であった。
・治療関連有害事象の発現割合は、Grade3~4はアテゾ+ベバ群60.8%対単独群40.5%、Grade5は3.0%対1.7%であり、新たな安全性リスクは認められなかった。
工藤氏は「全身療法未治療で腫瘍負荷が中程度から高いHCC患者において、TACE後のアテゾリズマブ+ベバシズマブは、TACE単独と比較して、TACE-PFSにおいて統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。安全性プロファイルは概ね管理可能であり、各薬剤の既知のプロファイルと一致していた。OSは未成熟であるため、今回の結果だけで標準治療が変わることはないが、TACE+アテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法は、中間期の肝細胞がんにおける新たな治療選択肢となる可能性があり、今後さらなる解析を実施、報告する予定だ」とした。
(ケアネット 杉崎 真名)