EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)において、TP53遺伝子変異は高頻度にみられ、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬単剤療法の効果不良と関連することが知られている。そこで、TP53遺伝子変異を併存するEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象として、オシメルチニブ+化学療法(FLAURA2レジメン)とオシメルチニブ単剤を比較する第III相試験「TOP試験」が中国で実施されている。本試験において、TP53遺伝子変異が併存する集団でも、FLAURA2レジメンが無増悪生存期間(PFS)を改善し、全生存期間(OS)も良好な傾向がみられた。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、Yunpeng Yang氏(中国・中山大学がんセンター)が本試験のPFSの主解析およびOSの中間解析の結果を報告した。
試験デザイン:海外第III相非盲検無作為化比較試験
対象:未治療の
EGFR遺伝子変異(exon19欠失/L858R)および
TP53遺伝子変異陽性の非扁平上皮NSCLC成人患者294例
試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m
2]+カルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m
2)を3週ごと(併用群、146例)
対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、148例)
評価項目:
[主要評価項目]治験担当医師評価に基づくPFS
[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・本試験の対象患者は、ベースライン時に約5割が中枢神経系転移を有していた(併用群49.3%、単独群48.0%)。
EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群54.8%/45.2%、単独群56.1%/43.9%であった。
・データカットオフ時点(2025年11月12日)におけるPFS中央値は併用群34.0ヵ月、単独群15.6ヵ月であり、併用群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.32〜0.60、p<0.001)。
・PFSに関するサブグループ解析では、中枢神経系転移の有無や
EGFR遺伝子変異の種類などを含むすべてのサブグループで併用群が良好な傾向にあった。
・OSは未成熟(成熟度30.6%)であったが、OS中央値は併用群48.4ヵ月、単独群36.5ヵ月であり、併用群で改善の傾向がみられた(HR:0.57、95%CI:0.38~0.88)。
・ORRは併用群82.9%、単独群71.6%であった。DOR中央値はそれぞれ32.7ヵ月、15.3ヵ月であった。
・オシメルチニブによる治療継続期間中央値は併用群20.3ヵ月、単独群15.4ヵ月であった。
・Grade3以上の有害事象は併用群62.4%、単独群14.9%に発現したが、新たな安全性に関するシグナルはみられなかった。
本試験結果について、Yang氏は「
EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCにおいて、遺伝子変異などの特徴に応じて治療を選択する個別化治療戦略を支持する重要な根拠となる」とまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)