統合失調症や双極症は、遺伝的リスク因子と修正可能なリスク因子の影響を受ける、重篤な精神疾患である。脳ケアスコア(BCS)は、身体的、生活習慣、社会情緒的にわたる12の修正可能な因子から構成される検証済みのツールであり、それぞれが脳の健康に関連している。中国・北京大学のYichen Cui氏らは、多遺伝子リスクスコア(PRS)により定量化されたさまざまな遺伝的リスクレベルにおいて、BCSが統合失調症または双極症のリスクとどのように関連するかを調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年4月13日号の報告。
UKバイオバンクのデータを用いて、BCSおよびPRSスコアを算出し、新規発症の統合失調症および双極症患者を特定した。BCSと統合失調症または双極症リスクとの関連性の評価には、Cox比例ハザードモデルを用いた。この関連性が遺伝的リスクレベルによってどのように変化するかを、交互作用分析および層別分析を用いて評価した。BCSの各ドメインの寄与についても評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・参加者29万9,665例のうち、中央値13.7年のフォローアップ期間中に、統合失調症が331例、双極症が787例で確認された。
・PRSが低い群では、BCSが高いほど統合失調症のリスクが有意に低下していた。とくに生活習慣(ハザード比[HR]:0.87、p=0.027)、社会情緒的ドメイン(HR:0.47、p<0.001)においてその傾向が顕著であった。
・PRSが高い群では、BCSと統合失調症との全体的な関連性は認められなかった。しかし、社会情緒的ドメインは依然として保護因子として作用していた(HR:0.56、p<0.001)。
・双極症に関しては、PRSが低い群では、とくに生活習慣(HR:0.91、p=0.017)および社会情緒的ドメイン(HR:0.44、p<0.001)において、BCSによる保護作用がより強く認められた。
・PRSが高い群では、BCSによる保護作用は弱まったものの、社会情緒的ドメインでは依然として有意であった(HR:0.50、p<0.001)。
・感度分析においても、これらの結果は支持された。
著者らは「生活習慣と社会情緒的健康の改善は、統合失調症および双極症のリスクを有意に低減することが可能であり、その効果は遺伝的リスクによって左右されることが示された。社会情緒的健康の向上は、あらゆる遺伝的リスクレベルにおいて保護効果をもたらし、重要な予防策となりうる」としている。
(鷹野 敦夫)