がんと認知症は、高齢化と社会経済の変遷の影響を受ける、主要な世界的健康課題である。いずれも大きな負担を強いるものの、人口レベルでの両者の関係は、これまで十分には検討されていなかった。オーストラリア・アデレード大学のWenpeng You氏らは、発達、人口動態、医療関連因子を考慮したうえで、がんと認知症の発生率の世界的な関連性を調査した。Future Science OA誌2026年12月号の報告。
保健指標評価研究所(IHME)より入手したデータを用いて検討を行った。共変量には、経済的豊かさ、都市化、選択機会の減少、60歳の平均寿命を含めた。204ヵ国を対象とした分析では、相関係数、偏相関係数、主成分分析、重回帰分析(エントロピー法とステップワイズ法)を用いた。サブグループ解析では、所得水準、発展途上国、WHO加盟地域、地政学的グループにより層別化した。
主な結果は以下のとおり。
・がんの発生率は、世界全体で認知症の発生率と強い相関を示した(r=0.873、ρ=0.938、p<0.001)。
・この関連は地域間で一貫しており、とくに上位中所得国および発展途上国で顕著であった。
・偏相関では、調整後もこの関係が持続することが示され、がんは認知症の分散の59.8%であった。
・回帰モデルでは、社会経済的および人口統計学的因子は、分散の51.7%であり、がんを含めると80.1%に上昇することが明らかになった。
著者らは「がんの発生率は、世界的に認知症の発症率の主な独立予測因子であり、従来の因子を上回っている。調査結果は、共通の決定因子を浮き彫りにしており、とくにリソースの少ない環境における統合的な慢性疾患戦略の重要性を示唆している」としている。
(鷹野 敦夫)