アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者および介護者にとって深刻な影響を及ぼす。セロトニンとドパミンを調整するブレクスピプラゾールは、潜在的な治療薬として期待されるが、最近の試験や投与量の違いにより、最適な有効性および安全性についての見解は、一致していない。ブラジル・Federal University of ParaibaのJoao Vitor Andrade Fernandes氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの有効性および安全性を用量特異的なアウトカムに焦点を当て評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Indian Journal of Psychiatry誌2025年9月号の報告。
アルツハイマー病に伴うアジテーションにおいてブレクスピプラゾールとプラセボを比較したRCTを、PubMed、Embase、Cochrane Libraryよりシステマティックに検索した。主要有効性アウトカムには、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコアの変化を用いた。安全性アウトカムには、治療関連有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、死亡率を含めた。メタ解析は、ランダム効果モデルを用いて実施し、平均差(MD)、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・4つのRCT、1,710例を分析対象に含めた。
・ブレクスピプラゾール2mg群は、プラセボ群と比較し、CMAIスコア(MD:-5.618、95%CI:-7.884〜-3.351、p<0.001)およびCGI-Sスコア(MD:-0.513、95%CI:-0.890〜-0.135、p=0.008)の有意な低下が認められた。
・低用量(0.5〜1mg)群では、有効性が限定的であった。
・TEAEは、ブレクスピプラゾール2mg群でより多く認められたが(OR:1.554、95%CI:1.045〜2.312、p=0.030)、SAE(OR:1.389、p=0.384)および死亡率(OR:2.189、p=0.301)はプラセボ群と有意な差が認められなかった。
著者らは「ブレクスピプラゾール2mgは、許容できる安全性プロファイルを有しており、アルツハイマー病に伴うアジテーションの軽減に有効である」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)