小児片頭痛、起立性調節障害を伴わない場合は亜鉛欠乏か?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/27

 

 片頭痛は学童期の子供の約10%にみられ、起立性調節障害を併存していることが多い。成人では血清亜鉛レベルの低下と片頭痛の関連が報告されているが、小児におけるエビデンスはこれまで限られていた。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らの研究によると、小児片頭痛患者のうち、起立性調節障害を併存していない群では併存群に比べて血清亜鉛レベルが有意に低く、両者の病態生理が異なる可能性が示唆された。Nutrients誌2025年11月28日号に掲載。

 本研究では、2017年12月~2022年3月に片頭痛と診断された小児患者57例を対象に、初診時の血清亜鉛、鉄、銅、フェリチン濃度および起立性調節障害併存の有無を後ろ向きに調査した。亜鉛欠乏は血清濃度80μg/dL未満と定義し、起立性調節障害の診断は日本の診断基準に基づき、立ちくらみ、悪心、動悸や呼吸困難、朝起きるのが困難などの主要症状のうち2つ以上ある場合とした。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象の57例(男児26例、女児31例、年齢中央値13歳[範囲:7~19])において、血清亜鉛濃度の中央値は80.7μg/dL(範囲:57.8~113.3)であり、全体の40%に亜鉛欠乏が認められた。
・起立性調節障害を併存していないのは31例(54.4%)、併存しているのは26例(45.6%)であった。
・起立性調節障害を併存していない群の血清亜鉛濃度中央値は77.5μg/dL(範囲:57.8~102.9)であり、併存群の86μg/dL(74.4~113.3)と比較して有意に低かった(p<0.001)。
・亜鉛欠乏の割合は、起立性調節障害の非併存群で67.7%(21/31例)であったのに対し、併存群では7.7%(2/26例)であった(p<0.001)。
・線形混合モデル(LMM)解析の結果、年齢、性別、BMI、鉄、銅、フェリチンなどの要因を調整した後も、起立性調節障害の併存の有無のみが血清亜鉛濃度と有意に関連する因子であった(p=0.019)。
・鉄、銅、フェリチンの各レベルについては、起立性調節障害併存の有無による有意な差は認められなかった。

 本研究により、片頭痛と診断される小児患者であっても、起立性調節障害の併存の有無によって亜鉛の栄養状態が大きく異なることが示された。著者らは、起立性調節障害を伴わない片頭痛患者では亜鉛欠乏が病態に関与している可能性を指摘しており、血清亜鉛レベルを考慮することが、これら2つの病態を鑑別するための有用な指標になる可能性があるとし、今後の課題として、健康対照群を用いた大規模な前向き研究が必要だとまとめている。

(ケアネット 古賀 公子)