統合失調症は、長期の薬物治療を必要とする慢性疾患である。十分な治療反応が得られず、副作用を経験する患者が少なくないため、服薬アドヒアランスの低下を招き、抗精神病薬の切り替えや多剤併用療法が必要となることもある。このような状況において、良好な忍容性プロファイルを有する非定型抗精神病薬であるブレクスピプラゾールは、これまでの治療が奏効しなかった、または不耐容であった患者に臨床的ベネフィットをもたらす可能性がある。しかし、ブレクスピプラゾール切り替え後のリアルワールドにおけるエビデンスは依然として限られている。イタリア・Universita Cattolica del Sacro CuoreのMarco Di Nicola氏らは、ブレクスピプラゾールへの切り替えを行った統合失調症患者における精神病理学的、機能的、身体的健康状態への影響を評価した。Journal of Personalized Medicine誌2025年10月22日号の報告。
クロスタイトレーションによりブレクスピプラゾール(2~4mg/日)に切り替えた統合失調症外来患者50例を対象に、12週間のレトロスペクティブ観察研究を行った。主要アウトカムは、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の14項目のサブセットを用いて評価した患者の生活へのエンゲージメントの変化および奏効率/寛解率とした。副次的アウトカムは、主観的ウェルビーイング、生活の質(QOL)、性機能、代謝パラメーター、プロラクチン値の変化とした。評価尺度には、主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWN-S)、WHO-5精神健康状態表(WHO-5)、Arizona Sexual Experience Scale(ASEX)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・生活へのエンゲージメントについて、すべての領域で有意な改善が認められた(p<0.001)。また、40%の患者において、臨床的反応が認められた。
・SWN-SおよびWHO-5スコアにおいて、有意な改善が認められた(各々、p<0.001)。
・体重(−2.64kg、p=0.013)およびBMI(−0.91kg/m2、p=0.006)の有意な改善が認められた。
・ASEX(p=0.067)およびプロラクチン値(−30.7ng/mL、p=0.077)の改善も認められたが、統計学的に有意な差は認められなかった。
・忍容性は、全体として良好であった。
著者らは「統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールへの切り替えは、精神病理学的、機能的、身体的健康状態の改善と関連していた」とし「本リアルワールドデータは、これまでに抗精神病薬治療で効果が不十分であった統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有用性を裏付けるものである」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)