身近で医療を受診できるクリニックや診療所などでプライマリ・ケア医(PCP)の活躍のフィールドは広い。患者さんやその家族全般を知る家庭医としての役割も大きい。では、PCPは、どのような仕事に「意味」を感じることができているのだろうか。このテーマに関して筑波大学医学医療系地域総合診療医学講座の山本 由布氏らの研究グループは、慶應義塾大学と共同でPCPにアンケートを実施した。その結果、PCPは「多様な健康問題の管理」など6つの項目について「意味」を感じていることがわかった。この内容はBMC Primary Care誌2025年10月28日オンライン版に掲載された。
プライマリ・ケア医が「意味」を感じる仕事には時間、地域も関係
研究グループは、2021年10月~2022年2月にかけてわが国の診療所や小規模病院に勤務する日本プライマリ・ケア連合会(JPCA)認定家庭医またはプライマリ・ケア専門医を対象に、「医師としての仕事において意味を感じた経験」について半構造化インタビューを実施した。面接は、対面またはビデオ通話で行い、得られたデータは逐語的に書き起こし、帰納的テーマ分析を用いてデータ分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・14人の医師がインタビュー調査に参加した。
・「意味」を感じると思う仕事は以下の6つだった。
(1)多様な健康問題への対応
(2)患者・家族・問題への包括的アプローチ
(3)継続性によって築かれる患者との信頼関係
(4)専門職間連携による複雑な問題を抱える患者の支援経験
(5)医療従事者・医学生教育への貢献
(6)地域社会・社会への貢献
研究グループは、この結果から「PCPは主に2つの経路を通じて仕事に意味を見いだしている。第一に、実践を通じ自身の臨床能力を向上させること、第二に、患者さんやより広い地域社会への貢献を通じて充実感を経験することである。仕事の意味に関連するPCPの具体的な経験を明らかにすることは、さまざまな環境で働くPCPを鼓舞する可能性がある」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)