病院内の騒音でせん妄・不安・再入院リスク上昇か/大阪公立大

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/16

 

 病院内の騒音は、患者の睡眠を妨げるだけでなく、せん妄や不安、再入院などのリスクも上昇させる可能性が示された。園田 奈央氏(大阪公立大学大学院看護学研究科)らの研究グループは、病院内の騒音の影響に関するスコーピングレビューを実施し、その結果を報告した。本結果は、Worldviews on Evidence-Based Nursing誌2025年8月号に掲載された。

 研究グループは、病院内の騒音が入院患者の健康アウトカムに与える影響を明らかにするため、スコーピングレビューを実施した。本レビューでは、2014年1月〜2023年12月にPubMed、CINAHL Plus、Cochrane Libraryに登録された文献を検索した。また、検索で抽出された文献の参考文献、Google Scholarについてハンドサーチを実施した。キーワード(noise、sound、alarm、hospital、care unit、ward)検索およびハンドサーチで抽出された5,851件の文献から、重複などを除いた4,426件を対象にスクリーニングを実施し、最終的に研究目的に合致した28件の論文を抽出した。

 主な結果は以下のとおり。

【睡眠】
・集中治療室(ICU)入室患者において、騒音レベルが高い(8~22時:63dB超、22~8時:59dB超)と覚醒時間が増加したという報告や、ICU入室患者において、夜間の最大騒音レベルが高い(57.9dB超)と睡眠時間が減少したという報告があった。
・ICU/心臓疾患集中治療室(CICU)入室患者を対象とした4研究において、騒音は睡眠の質の低下と関連がみられた。
・一般病棟の入院患者においても、騒音は睡眠時間や睡眠の質の低下と関連したという報告があり、良好な睡眠を保つための騒音レベルの推定上限値は7~19時が49.3dB、19~7時が34.2dBとする報告があった。

【生理学的影響】
・騒音レベルが高いと呼吸数および心拍数が上昇したという報告があった。
・深部体温と騒音の関係を検討した研究では、両者に有意な関連はみられなかった。

【心理学的影響】
・ICU入室患者において、騒音レベルが高いと不安が増加したという報告があった。

【せん妄】
・外傷によるICU入室患者および外科系集中治療室(SICU)入室患者において、日中(12~18時)の騒音はせん妄リスク上昇と関連したが、朝(8~12時)の騒音はせん妄リスク低下と関連したという報告があった。

【再入院】
・騒音は30日以内および90日以内の予定外の再入院リスク上昇と関連したという報告があった。

 本研究結果について、著者らは「騒音が患者アウトカムに与える影響についての包括的な理解を提供し、病院内の騒音低減に取り組むことの重要性を強調するものである」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)