外来ベンゾジアゼピン減少戦略、入院中の不眠症治療標準化がポイント

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/07

 

 不眠症は、頻繁にみられる臨床的愁訴であり、入眠障害、夜間の中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害といった症状を呈する。これらの睡眠障害は、さまざまな精神疾患や身体疾患と関連していることが多く、生活の質の低下や広範な社会的負担につながる可能性がある。ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)は入院患者の不眠症マネジメントに広く用いられているが、とくに高齢者においては、認知機能低下、転倒、骨折などの有害事象との関連が指摘されている。広島大学病院では、より安全な処方実践を促進するため、入院患者向け処方集およびクリニカルパスガイダンスを2021年11月に改訂し、入院中のBZD新規処方開始抑制を目指している。同病院の大本 亜沙妃氏らは、外来患者における睡眠薬処方を分析し、入院時の不眠症治療薬の標準化が、外来の不眠症治療薬処方に及ぼす影響を評価した。Cureus誌2025年7月29日号の報告。

 外来患者における睡眠薬処方について、記述統計学的手法を用いて分析するため、医療記録をレトロスペクティブにレビューした。本分析では、入院患者の不眠症治療薬の標準化が、医師による外来患者への不眠症治療薬処方の動向に及ぼす影響を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究期間中、BZDおよびBZD以外の薬剤の処方率が低下したことが示された。
・さらに、3ヵ月間にわたり、BZDの新規処方が減少傾向にあることが認められた。

 著者らは「入院患者における不眠症治療薬としてのBZDの処方を制限することで、医師による外来患者への不眠症治療薬の処方が適正化される可能性があることが示唆された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)