統合失調症患者に対するアリピプラゾールと認知行動療法(CBT)併用療法の認知機能および心理状態に及ぼす影響を評価するため、中国・The Second People's Hospital of Guizhou ProvinceのJun Yan氏らは、ランダム化比較試験を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2025年3月27日号の報告。
対象は、統合失調症患者78例。従来の看護治療を行い3ヵ月間のアリピプラゾール投与を行った対照群(39例)、CBT(1回/週、各セッション60分)と3ヵ月間のアリピプラゾール投与を行ったCBT併用群(39例)のいずれかに分類した。治療前後の症状重症度を両群間で比較した。精神症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた。認知機能は、神経心理検査アーバンズ(RBANS)を用いて評価した。QOLの評価には、General Quality of Life Inventory-74(GQOLI-74)を用いた。最終分析では、治療後の両群間における有効性および合併症を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・両群ともに、有意な改善が認められた。BPRSおよび陽性陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの低下、RBANS、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)、GQOLI-74スコアの上昇が認められた。
・CBT併用群は、対照群よりも大きな改善を示した。
・CBT併用群の総改善率は89.74%(35例)であり、対照群71.79%(28例)よりも高かった。
・合併症の発生率は、CBT併用群で33.33%(13例)、対照群で38.46%(15例)であった。
著者らは「統合失調症に対するアリピプラゾールと組み合わせたCBTは、患者の認知機能および心理状態に有意なベネフィットをもたらすことが示唆された」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)