フィブラート系薬の服用が腎機能や死亡に及ぼす影響を検討した結果、フィブラート系薬は慢性腎臓病(CKD)発症リスクの増加と関連する一方で、末期腎不全(ESKD)発症および死亡リスクの低下と関連していたことを、米国・Harbor-UCLA Medical Centerの高橋 利奈氏らが明らかにした。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年4月7日号掲載の報告。
フィブラート系薬は血清クレアチニンの急激な上昇を引き起こす可能性があるが、腎アウトカムの評価は追跡期間の短い研究では困難である。さらに、特定の腎アウトカムに関する研究は限られており、それらの結果も一貫していない。
そこで研究グループは、フィブラート系薬の新規処方とCKDやESKDの発症、死亡との関連を調べるため、米国退役軍人省の研究データベース(68万8,382例)を用いた後ろ向きコホート研究で、最大14年間にわたり追跡・分析を行った。人口統計学的因子、主な併存疾患、eGFRを含む臨床検査値、アルブミン尿、服用薬で調整し、Cox比例ハザードモデルおよびFine-Grayモデルを用いて関連を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・5万8,773例がフィブラート系薬を新規で服用開始した。全体の平均年齢は59(SD 13)歳で、フィブラート系薬服用患者は男性や喫煙者が多く、併存疾患を有する頻度も高かった。
・完全調整モデルでは、フィブラート系薬の服用は、非服用と比較してCKDリスクの上昇と関連していた(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.19~1.24)。
・フィブラート系薬の服用は、死亡リスク(HR:0.91、95%CI:0.89~0.93)およびESKDリスク(0.80、0.71~0.92)の低下と関連していた。
これらの結果より、研究グループは「フィブラート系薬が腎アウトカムと生存に及ぼす潜在的な利点を裏付けるにはさらなる研究が必要である」とまとめた。
(ケアネット 森)