維持期双極性障害に対する抗精神病薬の剤形による治療中止後の再発率の比較

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/23

 

 統合失調症患者において長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、患者が治療を中止した場合、同等の経口抗精神病薬と比較し再発までの期間を延長させる可能性があることが、これまでに報告されている。これと同様のパターンが、維持期治療中の双極性障害患者で観察できるかはよくわかっていない。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、双極性障害の維持期治療におけるLAI抗精神病薬と経口抗精神病薬の中止後の再発率を比較するため、システマティックレビューを実施した。Psychiatry Research誌2024年3月号の報告。

 双極性障害の維持期治療におけるLAI抗精神病薬のプラセボ対照ランダム化治療中止試験、LAI抗精神病薬に対応する経口抗精神病薬を用いた同等性の研究をシステマティックに検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・5件の研究を特定した。内訳は、アリピプラゾール月1回LAIの研究1件、経口アリピプラゾールの研究1件、リスペリドン2週間LAIの研究2件、経口パリペリドンの研究1件であった。
・アリピプラゾール月1回LAIを中止した場合、経口アリピプラゾールを中止した場合と比較し、2週、4週、6週、8週、12週、16週、20週、26週時点での再発率が低かった。
・リスペリドン2週間LAIを中止した場合、経口パリペリドンを中止した場合と比較し、2週、4週、6週、8週、16週時点での再発率が低かった。

 著者らは、「LAI抗精神病薬または同等の経口抗精神病薬で安定していた躁病患者において治療中止が行われた場合、LAIの剤形のほうが同等の経口剤よりも、再発までの期間を大幅に延長すると解釈できるだろう」としている。

(鷹野 敦夫)