市中肺炎、β-ラクタム系薬へのクラリスロマイシン上乗せの意義は?

提供元:ケアネット

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公開日:2024/01/26

 

 市中肺炎に対するβ-ラクタム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用の有効性が報告されているが、これらは観察研究やメタ解析によるものであった。そこで、ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのEvangelos J. Giamarellos-Bourboulis氏らは、無作為化比較試験により、β-ラクタム系抗菌薬へのクラリスロマイシン上乗せの効果を検討した。その結果、クラリスロマイシン上乗せにより、近年導入された評価基準である早期臨床反応が有意に改善した。本研究結果は、Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2024年1月3日号で報告された。

 本研究の対象は、18歳以上の市中肺炎患者278例であった。主な適格基準は、敗血症の評価に用いられるSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコア2点以上、プロカルシトニン値0.25ng/mL以上などであった。対象患者を標準治療薬(第3世代セファロスポリン静注またはβ-ラクタム系薬+β-ラクタマーゼ阻害薬静注)で治療を行うプラセボ群、標準治療薬にクラリスロマイシン(500mgを1日2回)を併用するクラリスロマイシン群に1対1に無作為に割り付け、7日間投与した。主要評価項目は、早期臨床反応であった。
※:治療開始から72時間後において、以下の(1)と(2)を両方満たすこと。
(1)呼吸器症状の重症度スコアが50%以上低下
(2)SOFAスコアが30%以上低下またはプロカルシトニン値が良好(ベースラインから80%以上低下または0.25ng/mg未満)


 主な結果は以下のとおり。

・主要評価項目の解析には、プラセボ群133例、クラリスロマイシン群134例が組み入れられた。
・主要評価項目の早期臨床反応を達成した患者の割合は、プラセボ群が38%であったのに対し、クラリスロマイシン群は68%であり、クラリスロマイシン群が有意に改善した(群間差:29.6%、オッズ比[OR]:3.40、95%信頼区間[CI]:2.06~5.63)。
・新たな敗血症はプラセボ群24%、クラリスロマイシン群13%に認められ、クラリスロマイシン群で有意に少なかった(ハザード比:0.52、95%CI:0.29~0.93、p=0.026)。
・重篤な有害事象はプラセボ群53%、クラリスロマイシン群43%に発現した(群間差:9.4%、OR:1.46、95%CI:0.89~2.35)。重篤な有害事象は、いずれも治療薬との関連は認められなかった。

(ケアネット 佐藤 亮)