日本人のBMIと認知症リスク、男女間で異なる

BMIと認知症リスクとの関連は、年齢によりばらつきがあり、性別の影響を受ける可能性がある。新潟大学のAlena Zakharova氏らは、地域在住の日本人を対象に、BMIと認知症リスクとの関連に対する性別の影響を明らかにするため、コホート研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年8月1日号の報告。
ベースライン時(2011~13年)に40~74歳であった地域在住の日本人1万3,802人を対象に8年間のフォローアップ期間を伴うコホート研究を実施した。直接測定により収集された身長、体重、腹囲を含む社会人口統計学的およびライフスタイル、病歴に関する情報を自己記入式アンケートで収集した。BMIに基づき参加者を次の6群に分類した。低体重群(<18.5kg/mm2)、低普通体重群(18.5~20.6kg/m2)、普通体重群(20.7~22.6kg/m2)、高普通体重群(22.7~24.9kg/m2)、過体重群(25.0~29.9kg/m2)、肥満群(≧30.0kg/m2)。認知症発症に関する情報は、介護保険データベースより収集した。多変量調整ハザード比(HR)の算出には、Cox比例ハザードモデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・参加者の平均年齢は、59.0歳であった。
・男性では、BMIが高いほど認知症リスクが低かった(完全調整p for trend=0.0086)。
・女性では、BMIと認知症リスクとの間にU字型の関連が認められ、低体重群(完全調整HR:2.12)、低普通体重群(同:2.08)、過体重群(同:1.78)は、対照群(高普通体重群)と比較し、認知症リスクが有意に高かった。
・これらの所見は、フォローアップ期間の最初の4年間で認知症を発症した参加者を除外した場合でも、同様であった。
著者らは、これらの結果から、「過体重や肥満は、女性のみで認知症リスクを上昇させる可能性があり、肥満の性差が認知症リスクと関連していることが示唆された」と述べている。
(鷹野 敦夫)
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