他の抗CGRP抗体への切り替えが有効な片頭痛患者の特徴は

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を介したモノクローナル抗体(mAb)は、片頭痛治療に有効な治療薬として承認されている。特定のmAbで治療反応が得られなかった患者に対し、別のmAbへ切り替えることで、ある程度の有効性が得られることが示唆されている。イタリア・フィレンツェ大学のLuigi Francesco Iannone氏らは、抗CGRP/リガンドmAbで治療反応が得られなかった患者における抗CGRP/受容体mAbへの切り替えによる治療効果、およびその逆における効果を評価した。その結果、特定の抗CGRP mAbで効果が不十分であった場合、他の抗CGRP mAbへの切り替えは臨床上の重要なオプションである可能性が示唆された。Cephalalgia誌2023年4月号の報告。
2019年12月~2022年7月、2種類の抗CGRP mAbによる連続した治療を行った外来片頭痛患者31例より、包括基準を満たした22例(全例女性、慢性片頭痛19例、反復性片頭痛3例)を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。最初の抗CGRP mAbに対し効果不十分であった患者を、同じ患者コホートの3つの変数(片頭痛評価尺度[MIDAS]スコア、1ヵ月当たりの頭痛日数、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用日数)または5つの変数(MIDASスコア、1ヵ月当たりの頭痛日数、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用日数、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用数、Headache Impact Test-6[HIT-6]スコア)を用いて評価した。主要評価項目は、2番目の抗CGRP mAbによる治療3ヵ月後における、1ヵ月当たりの頭痛日数、治療反応率、薬物乱用継続のベースラインからの絶対変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・3つの変数で効果不十分と判断された患者では、2番目の抗CGRP mAbによる治療3ヵ月後において、1ヵ月当たりの頭痛日数、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用日数、MIDASスコア、HIT-6スコアの持続的な改善が認められた。
・30%以上の治療反応が認められた患者は、10例(45.4%)であった。
・抗CGRP mAbの切り替えは、リガンドから受容体またはその逆において、差は認められなかった。
・5つの変数で効果不十分と判断された患者では、2番目の抗CGRP mAbによる治療3ヵ月後に、HIT-6スコアのみでベースラインからの改善が認められた。1ヵ月当たりの頭痛日数、1ヵ月当たりの鎮痛薬使用日数、MIDASスコアについては、3ヵ月後の減少傾向が観察された。
(鷹野 敦夫)
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