不眠症患者はどんな治療を望んでいるのか

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/21

 

 認知行動療法(CBT)を求める不眠症患者の睡眠薬使用に対する考えや、使用を減らしたいと願う予測因子について、米国・スタンフォード大学のIsabelle A. Tully氏らが調査を行った。その結果、CBTを望んでいる睡眠薬使用中の不眠症患者において、睡眠薬の必要性を強く示し、服用についての懸念が比較的少ないにもかかわらず、4分の3の患者が睡眠薬を減らしたいと望んでいることが示された。Journal of Clinical Sleep Medicine誌オンライン版2023年3月8日号の報告。

 対象は「一般診療における段階的な睡眠療法の有効性に関するランダム化比較試験(RCT of the effectiveness of stepped-care sleep therapy in general practice:RESTING研究)」に登録された、50歳以上の不眠症患者245例。睡眠薬の使用患者と未使用患者の特性を比較するためt検定を実施した。睡眠薬の必要性および睡眠療法への懸念に関する考えの予測因子は、線形回帰を用いて評価した。睡眠薬への依存、薬物療法に対する考え、人口統計学的特徴を含め、睡眠薬を減らしたいと願う予測因子を患者間で調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・睡眠薬を使用する患者は未使用の患者よりも、睡眠薬の必要性をより強く感じており、潜在的な害についての懸念が少なかった(p<0.01)。
・睡眠に関連する認知のより強い機能不全は、睡眠薬を必要とする大きな信念や睡眠薬使用への懸念を予測した(p<0.01)。
・睡眠薬を減らすことを望んでいる患者は、そうでない患者より、睡眠薬の依存度が高いことが報告されていた(p<0.001)。
・自己報告による依存の重症度は、使用を減らしたいと望む最も強力な予測因子であった(p=0.002)。
・CBTを望む睡眠薬使用中の不眠症患者は、睡眠薬の必要性を強く示し、服用についての懸念が比較的少ないにもかかわらず、その4分の3は睡眠薬を減らすことを望んでいた。
・今後のRESTING研究では、セラピスト主導によるデジタルCBTが、不眠症患者の睡眠薬減少にどの程度貢献するか報告する予定である。

(鷹野 敦夫)