なぜジャンクフードを食べたくなる?おやつに意外な効果も?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/13

 

 高脂肪・高糖質の食品には中毒性がある。高脂肪・高糖質の食事は、エネルギーの過剰摂取と体重増加をもたらすが、その根底にあるメカニズムは明らかになっていない。また、肥満が脳内ドパミン神経系の変化と関連することが知られているが、これらの変化が、「太りやすい体質にしているのか」「肥満に伴って2次的に生じるのか」「欧米型の食事に直接起因するのか」は解明されていない。そこで、ドイツ・マックスプランク代謝研究所のSharmili Edwin Thanarajah氏らは、正常体重の健康成人を対象に、通常の食事に加えて高脂肪・高糖質のヨーグルトまたは低脂肪・低糖質のヨーグルトを8週間摂取させる無作為化比較試験を実施した。その結果、高脂肪・高糖質のヨーグルトの摂取は、低脂肪食品への嗜好性を低下させたが、高脂肪・高糖質のミルクセーキに対する脳の反応を増加させた。さらに、食事とはまったく関係のない連合学習能力も向上させた。これらの変化は、体重や代謝パラメータとは関係がなかった。本研究結果は、Cell Metabolism誌4月4日号に掲載された。

 正常体重の健康成人49人を通常の食事に加えて、高脂肪・高糖質のヨーグルト(高脂肪・高糖質群)または低脂肪・低糖質のヨーグルト(低脂肪・低糖質群)を摂取する群に無作為に割り付け、1日2回8週間摂取させた。ベースライン時と8週後において、BMIや空腹感、臨床検査値が評価された。また、脂肪や糖に対する嗜好性、ミルクセーキに対する脳の反応、食事とは関係のない連合学習能力などが評価された。脂肪に対する嗜好性は糖質の量を固定した4種の脂肪含有量(0%、3.1%、6.9%、15.6%)のプリン、糖に対する嗜好性は4種のスクロース添加量(0M、0.1M、0.56M、1.0M)のリンゴジュースで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・8週間後における体重や臨床検査値の変化について、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群に有意差は認められなかった。
・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて低脂肪の食品(脂肪0%のプリン)に対する嗜好性が有意に低下した(p=0.015)。
・8週後において、高脂肪・高糖質群と低脂肪・低糖質群はいずれも低糖質の飲料に対する欲求がベースライン時と比べて低下し、両群間に有意差は認められなかった。
・8週後において、高脂肪・高糖質群は低脂肪・低糖質群と比べて、ミルクセーキ提供の合図に対する神経反応が中脳、右背外側前頭前野、視床、両側後頭葉皮質において増加した。また、高脂肪・高糖質群はミルクセーキを飲んでいる際の神経反応が左の島皮質後部と右の島皮質中部・前部で増加した。
・8週後において、食事とはまったく関係のない連合学習テスト(聴覚刺激と対応する視覚刺激を選択する)を実施したところ、高脂肪・高糖質群の腹内側前頭前野、腹側線条体、島皮質後部、海馬の神経反応が増加していた。

 著者らは、「高脂肪・高糖質の食品を繰り返し摂取すると、等カロリーの低脂肪・低糖質食品を摂取した場合と比べて、体重や代謝パラメータに変化がないにもかかわらず、嗜好性の高い食品への反応が高まるように脳の神経回路が変化することが示された。肥満を抑制するためには、食環境を変えて高脂肪・高糖質の食品の摂取を減らすことが極めて重要と考えられる」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)