コロナ感染拡大しやすいのは夜間営業店~東京都で大規模調査/東北大

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/07

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、ロックダウンなど人流の抑制や行動制限の介入による感染拡大のコントロールが世界的に実施されてきたが、社会経済への影響も大きかった。現在はワクチン接種の普及に伴い行動制限の緩和が進んでいるものの、直近の第8波ではコロナ関連死亡者数が過去最多を更新し、依然として感染拡大のコントロールは困難だ。

 社会経済活動を維持しつつ感染拡大リスクが高い場面に焦点を絞った感染防止対策の構築のため、東北大学の今村 剛朗氏らによる東京都、東北大学医科学研究科、国立感染症研究所の合同チームは、東京都に報告されたコロナ感染者4万4,054例を対象として、保健所での積極的疫学調査による情報を用いた後ろ向き解析を行った。その結果、夜間営業店と医療機関・福祉施設とでクラスターが多く生じていたことなどが明らかとなった。JAMA Network Open誌2023年2月24日号に掲載の報告。

 本研究では、ワクチン接種実施以前の2020年1月23日~12月5日の期間に東京都に報告された新型コロナウイルス感染者4万4,054例を対象として後ろ向き解析を行った。この期間において、コロナ第1波が2020年1月14日~5月25日、第2波が5月26日~9月30日、第3波の一部が10月1日~12月6日であった。

 対象者の感染経路を、海外、ナイトライフ、飲食店、職場、家庭、医療機関(福祉施設含む)、その他の7つの感染環境に分類し、感染環境ごとの症例数およびその後の感染伝播の発生可能性を比較した。「ナイトライフ」の定義は、レストラン、バー、ナイトクラブ(ホストクラブ、ホステスクラブ含む)、その他の夜間営業の飲食店とした。ナイトライフは、さらに接待を伴う施設と接待を伴わない施設とに分類し、性的サービスを提供する施設は、接待を伴う施設に分類した。「飲食店」の定義は、ナイトライフの定義を満たさない飲食店とした。

 主な結果は以下のとおり。

・全症例数4万4,054例のうち、2万5,241例(57.3%)は男性患者で、患者の年齢中央値は36歳(四分位範囲:26~52)であった。
・感染経路が確認できたのは1万3,122例で、家庭6,768例(51.6%)、次いで医療機関2,733例(20.8%)、ナイトライフ1,174例(8.9%)であった。
・症例致死率(CFR)は、医療機関で最も多く(2,733例中268例[9.8%])、医療機関におけるすべての死亡例は、患者または訪問者の間で発生した(すなわち、医療従事者の間では発生しなかった)。
・6,624件の感染現場が特定され、1次感染例から5例以上の2次感染例(クラスター)が確認された感染現場数は、ナイトライフが380件中72件(18.9%)、医療機関が329件中119件(36.2%)で、飲食店、職場、家庭、その他の環境よりもとくに多かった。
・特定されたナイトライフ380件の中で、接待を伴う施設でクラスターが193件中59件(30.6%)発生していた。一方、接待を伴わない施設でのクラスターは187件中13件(7.0%)だった。
・ナイトライフの症例は流行の波の初期に多く、家庭と医療機関の症例は後期に多かった。第1波では、ナイトライフでの発症日の中央値は、家庭での発症日の中央値よりも10日早く、医療機関での発症日の中央値よりも16日早かった。第2波では、ナイトライフでの発症日の中央値は、家庭よりも35日、医療機関よりも40日早かった。
・ナイトライフの症例と比較して、家庭および医療機関の症例は、その後の感染伝播を引き起こす可能性が低かった。家庭の調整オッズ比[aOR]:0.03(95%信頼区間[CI]:0.02~0.05)、医療機関のaOR:0.57(95%CI:0.41~0.79)。
・家庭環境は世代間伝播と関連し、非家庭環境は主に同年齢群間の伝播であった。
・感染現場が特定されていない3万932例において、ナイトライフの履歴のある症例は、履歴のない症例よりも、非家庭環境へ感染伝播する可能性が高く(aOR:5.30、95%CI:4.64~6.05)、家庭環境へ感染伝播する可能性は低かった(aOR:0.85、95%CI:0.75~0.97)。

 著者は本結果について、ナイトライフで確認されたCOVID-19症例は、家庭および医療機関での症例よりも、その後に感染伝播する可能性が高いため、とくに流行の初期段階において、ナイトライフの場を対象としたサーベイランスや行動制限の介入を優先させるべきだとしている。

(ケアネット 古賀 公子)