対側乳がんリスク、生殖細胞変異で違いは?/JCO

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/25

 

 乳がん女性における対側乳がんリスクは年間0.5%と推定され、生殖細胞変異の有無、人種/民族、診断時年齢、閉経状態が大きく影響する。今回、米国・Mayo ClinicのSiddhartha Yadav氏らが、ATMBRCA1BRCA2CHEK2PALB2の生殖細胞系列病的変異を有する女性における対側乳がんリスクを推定したところ、BRCA1BRCA2CHEK2PALB2の変異を有する女性でリスクがかなり高いことがわかった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月9日号に掲載。

 本研究は、浸潤性乳がんに対して同側手術を実施したCARRIERS試験において、前向きに追跡調査した1万5,104例を対象とした。各遺伝子の病的変異のある女性の対側乳がんリスクについて、死亡の競合リスクを考慮し患者および腫瘍の特性を調整した多変量比例ハザード回帰分析により病的変異のない女性と比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・乳がん生殖細胞系列BRCA1BRCA2CHEK2変異を有する女性は対側乳がんリスクが有意に高かった(ハザード比[HR]:1.9以上)が、ER陰性乳がんではPALB2変異のある女性のみリスクが高かった(HR:2.9)。
ATM変異を有する女性では、対側乳がんリスクが有意に高くはなかった。
・閉経前女性における10年累積対側乳がん発症率は、BRCA1変異を有する女性で33.4%、BRCA2変異を有する女性で27.2%、CHEK2変異を有する女性で13.2%だった。ER陰性乳がんに限るとPALB2変異を有する女性で35.5%と推定された。
・閉経後女性における10年累積対側乳がん発症率は、BRCA1変異を有する女性で11.5%、BRCA2変異を有する女性で9.4%、CHEK2変異を有する女性で4.3%であった。

(ケアネット 金沢 浩子)