統合失調症に対する高用量ルラシドンの有効性

福島県立医科大学の三浦 至氏らは、急性増悪期の統合失調症患者を対象に、ルラシドン80mg/日の有効性および安全性を検討した。その結果、ルラシドン40mg/日で治療した急性期統合失調症患者において、用量を80mg/日に増量した場合でも忍容性は良好であった。また、ルラシドン80mg/日への増量では、40mg/日を継続した場合と比較し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)サブスケールスコアのより大きな改善が認められた。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年11月9日号の報告。
ルラシドンの6週間二重盲検試験を完了した統合失調症の成人患者289例を対象に、12週間の非盲検延長試験を実施した。フレキシブルドーズでルラシドン40mg/日または80mg/日で治療を行った。有効性の評価には、PANSSサブスケール、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)、統合失調症に関するカルガリーうつ病尺度(CDSS)のスコアを用い、分析にはLOCF解析を用いた。安全性/忍容性の評価には、有害事象、体重、臨床検査値、有害事象による治療中止を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・ルラシドン80mg/日群は136例、40mg/日群は153例であった。
・有効性評価尺度の平均変化は、以下のとおりであった。
【PANSS陽性尺度】80mg/日群:-3.0、40mg/日群:-2.3
【PANSS陰性尺度】80mg/日群:-1.9、40mg/日群:-1.7
【PANSS総合精神病理尺度】80mg/日群:-5.1、40mg/日群:-3.8
【CGI-S】80mg/日群:-0.5、40mg/日群:-0.4
【CDSS】80mg/日群:-0.7、40mg/日群:-0.1
・有害事象による治療中止率は、80mg/日群で4.4%、40mg/日群で7.2%であった。
・80mg/日群において高頻度で発現した有害事象は以下のとおりであった。
●鼻咽頭炎:7.4%(40mg/日群:4.6%)
●便秘:5.9%(40mg/日群:2.0%)
●頭痛:5.9%(40mg/日群:2.0%)
(鷹野 敦夫)
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