オミクロン株のlong COVIDリスク、デルタ株より低い

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/13

 

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株は以前に流行したデルタ株と比較して急性期の症状が軽症であることが報告されているが、コロナ罹患後の後遺症、いわゆるlong COVIDのリスクも低いことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。本研究の結果はNature Communications誌2022年11月30日号で報告された。

 研究者らは、ノルウェーにおける18~70歳の全国民を対象に、医療データベースを使った前向きコホート研究を行った。オミクロンとデルタ株の流行が最も重複した期間(2020年12月8日~2021年12月31日)を対象に、オミクロン株の感染者の罹患後症状を、デルタ株感染者・非感染者と比較した。さらに、検査陽性後14~126日までの追跡期間を、急性期(14~29日)、亜急性期(30~89日)、慢性期(90日以上)に分け、罹患後症状の有病率の推定値も示した。

 主な結果は以下のとおり。

・全国民369万6,005人のうち、17万3,317人が期間中に1回以上のPCR検査を受け、うち5万7,727人が陽性と判定された。うち2万3,767人がデルタ株の感染者(デルタ群)、1万3,365人がオミクロン株の感染者(オミクロン群)だった。オミクロン群は、デルタ群に比べ、若年で高学歴、合併症が少なく、ワクチン接種の頻度も高い傾向があった。
・オミクロン群およびデルタ群の両方で、PCR検査の陰性者と比較して、罹患後症状のリスクが20~30%増加し、息切れの発症リスクが30~80%増加した
・全期間(14〜126日)における具体的な訴えを直接比較したところ、オミクロン群とデルタ群の差は認められなかったが、オミクロン群はデルタ群に比べ、検査後90日以上経過した時点でいずれかの症状を持つリスクが低く(1万人あたり43人[95%CI:14〜72]減)、筋骨格系の痛みのリスクも低かった(1万人あたり23人[95%CI:2〜43]減)。
・ワクチン接種者(14~210日前に1、2、3回接種)では、オミクロン群(9,368人)はデルタ群(1万4,160人)と比較して90日以上の罹患後症状有病率が1万人あたり36人(95%CI:1~70)減ることが示された。

(ケアネット 杉崎 真名)