既感染によるBA.4/5感染予防効果、半年で5割低下/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/07

 

 現在、COVID-19感染の主流となっているオミクロン株BA.4およびBA.5について、既感染による再感染予防効果は時間経過と共に急速に減退する可能性がある。カタール・ドーハのWeill Cornell MedicineのHeba N. Altarawneh氏らによる検討がNEJM誌2022年10月27日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

 研究者らは、SARS-CoV-2の検査結果、臨床経過、ワクチン接種、人口統計学的データ、カタールの医療施設で実施されたPCRおよび迅速抗原検査の全結果のデータを、全国SARS-CoV-2データベースから抽出した。感染リスクの違いをコントロールするため、性別、年齢、国籍、併存疾患数、検査した週、検査方法、検査理由によって、試験群と対照群をマッチングさせた。さらに、過去の感染について、オミクロン株による感染の波の開始(2021年12月19日)より前(前感染)とそれ以後(後感染)に分類した。

 2022年5月7日~7月28日のPCR検査におけるS遺伝子標的不全(SGTF)の判定を用いて、BA.4/5への再感染に対する既感染の有効性を推定した。6月8日~7月28日の間に診断されたSARS-CoV-2感染は、この期間に支配的な亜種であったため、すべてBA.4/5感染であると仮定して有効性を推定した。

・前感染では、有症状のBA.4/5再感染に対する有効性は35.5%(95%信頼区間[CI]:12.1~52.7)、症状の有無にかかわらない感染に対する有効性は27.7%(95%CI:19.3~35.2)であった。

・後感染では、有症状のBA.4/5再感染に対する有効性は76.2%(95%CI:66.4~83.1)、症状の有無にかかわらない感染に対する有効性は78.0%(95%CI:75.0~80.7)であった。

 診断された感染症がすべてBA.4/5であると仮定した既感染の有効性に関する解析でも、主解析と同様の結果が得られた。また、既感染からの間隔によって層別化した有効性の解析でも、時間の経過とともに予防効果が低下することが示された。

 研究者らは、「BA.4/5再感染に対する既感染の有効性は、前感染ではわずかだったが、BA.1/2含む後感染では高かった。これは、時間の経過とともに免疫防御力が低下し、BA.4/5の免疫回避力が高くなることが原因だ」とした。

(ケアネット 杉崎 真名)