コロナ流行で糖尿病関連死が30%増加、とくに若年で顕著

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/11/02

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、米国における2021年および2022年の糖尿病関連の死亡が、パンデミック以前と比べて30%以上増加したことを、中国・西安交通大学のFan Lv氏らが報告した。糖尿病は新型コロナ感染症の重症化の重大なリスク因子であるとともに、新型コロナウイルス感染は血糖コントロールの悪化につながることが報告されている。同氏らは、パンデミックによって糖尿病患者の治療の提供が混乱したことから、パンデミック中の糖尿病関連の死亡の傾向を調査した。eClinicalMedicine誌9月23日掲載の報告。

 調査は、米国人の出生と死亡に関する人口データベース「National Vital Statistics System(NVSS)」を用い、2006年1月1日~2021年12月31日に25歳以上であった死亡者のデータを解析した。糖尿病関連の死亡は、死亡診断書に記載された原死因と関連死因に糖尿病が記録されていた場合とした。超過死亡率は、2006~19年の死亡率より、年齢調整死亡率の観測値と期待値を線形および多項式回帰モデルで比較して推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・2006~21年の間に、25歳以上の糖尿病関連の死亡は424万3,254例あった。その多くは、65歳以上の高齢者グループ(76%)、男性(54%)、非ヒスパニック系白人(71%)であった。
・10万例あたりの年齢調整死亡率は、2006年(116.1)から2015年(103.9)にかけて減少し、2019年(106.8)にかけてわずかに増加した後、2020年(144.1)および2021年(148.3)に大きく増加した。
・糖尿病関連の死亡の超過死亡率は、2020年が33.3%(95%信頼区間[CI]:30.5~36.2)、2021年が35.3%(同:31.7~39.0%)であった。この超過死亡率の増加は、25~44歳、女性、ヒスパニック系において著しかった。
・米国全人口の全死因の超過死亡率は2020年が15.3%(同:13.2~17.4)、2021年が17.8%(同:15.2~20.6)であり、糖尿病関連死の超過死亡率のほうが高かった。
・糖尿病関連の超過死亡例の約3分の2が、パンデミック中の新型コロナウイルス感染症に関連していた。

(ケアネット 森 幸子)