新型コロナワクチン未接種者の特徴とは?

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/13

 

 世界中で新型コロナワクチンの接種やブースター接種が進められる中、まだ1度もワクチンを接種していないワクチン未接種者が存在する。これらの人々には共通の特性があるのだろうか。スコットランドにおいて未接種者の特性を調べたPublic Health Scotland所属のSafraj Shahul Hameed氏らによる研究結果がLancet誌2022年9月24日号 CORRESPONDENCEに掲載された。

 2022年8月10日までに、スコットランドに住む約440万人の成人のうち、349万7,208人がCOVID-19ワクチンの3回接種を完了している。Hameed氏らは、2019年1月1日以降にスコットランドの国民保健サービス(NHS)と少なくとも1回のやりとりがあった、ワクチン接種記録がない人を未接種者と定義した。

 ワクチン接種対象者として記録された471万2,810例のうち、84万2,029例(17.9%)に接種の記録がなかった。このうち8万6,489例(10.3%)に免疫性の禁忌、接種の同意が得られない、体調不良、患者による接種拒否など、未接種の理由が記録されていた。記録された理由の約5分の1が免疫性の禁忌だった。

 研究所の記録から、パンデミック開始以降に少なくとも1回COVID-19のPCR検査を受け、かつ接種記録のない25万4,049例が確認された。病院以外の処方記録から2019年1月1日以降に何らかの薬を処方された、接種記録のない41万6,499例を特定した。28万5,647例の未接種者が予定外の医療機関受診(NHS 24、家庭医の時間外診察、スコットランド救急サービスのいずれか1つ以上)をしており、13万3,569例の未接種者が少なくとも1回の入院を経験していた。上記のデータのいずれにもワクチン接種の記録がない26万8,740例が確認された。

 スコットランドでCOVID-19ワクチン接種の記録がない57万3,289例の成人が、2019年1月1日以降にNHSと少なくとも1回接触していることが確認された。ワクチン接種プログラムの開始以降に死亡した人、および未接種の理由として免疫性の禁忌が記録されている人を除外し、2022年8月10日時点で、COVID-19のワクチン接種の記録がない49万4,288例を未接種者として特定した。

 この未接種者コホートは、男女比がほぼ同じ、年齢分布も男女ともほぼ同じで、平均年齢は42.4歳であった。多くは都市部に住んでおり、29.0%がScottish Index of Multiple Deprivation(雇用や所得など7領域の総合指標)のスコアが最も低い地域に居住していた(接種者は18.7%)。

 家庭医の記録によると、未接種者のうち29万8,866/49万4,288例(60.5%)が併存疾患を有していない(接種者は198万8,751/384万7789例[51.7%])一方で、5万5,122/49万4,288例(11.2%)が3つ以上の併存疾患を持っていた(接種者は48万1,019/384万7,789例[12.5%])。未接種者で最も多く報告された併存疾患は、慢性呼吸器疾患(15.7%)、うつ病(12.8%)、高血圧症(10.6%)であった。

 未接種者の5人に1人(10万3,505例[20.9%])が中枢神経系に関連する疾患の薬を処方されており(接種者は65万5,531例[17.0%])、さらにうち3分の1以上(4万179/10万3,505例[38.8%])が抗うつ薬を処方されていた。

 多変量ロジスティック回帰分析により、ワクチン接種動向を予測する可能性が最も高い因子を同定した。男性、貧困度が高い、大都市圏在住、中枢神経系疾患の薬を処方されている、3つ以上の併存疾患があることは未接種と最も関連していたが、いくつかの併存疾患(高血圧、糖尿病、慢性呼吸器疾患など)を持つ人は、ワクチン接種を受ける可能性が高かった。

 英国の過去のデータでは、年齢の上昇と併存疾患はCOVID-19死亡率を上げる最も広く認識されているリスク要因の一つだが、併存疾患を多く持つ人々は、未接種のリスクが高いままであった。

 著者らは「本分析により、人口規模の過大推定の可能性を考慮しても、スコットランドの成人人口のかなりの割合がワクチン未接種であることが明らかになった。また、ワクチン未接種状態の予測因子も明らかになり、国のワクチン接種戦略の改訂に役立てることができる」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)