低BMIの蛋白尿リスクに“朝食抜き”が影響

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/15

 

 蛋白尿は心血管疾患と死亡率の重要な予測因子であり、いくつかの研究では、朝食を抜くことと蛋白尿の有病率との関連性が報告1)されている。また、朝食を抜くと肥満のリスクが高まることも明らかになっている。そこで、村津 淳氏(りんくう総合医療センター腎臓内科)らは蛋白尿が肥満の人でよく見られることに着目し、朝食を抜くことによる蛋白尿の有病率とBMIとの関連について調査を行った。その結果、蛋白尿は低BMIと関連性が見られ、低BMIの人の場合には、朝食を抜くことに注意する必要があることが示唆された。本研究結果はFront Endocrinol誌8月19日号に掲載された。
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 本研究者らは、正常な腎機能者における朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連に対するBMIの臨床的影響を評価することを目的に、2008年4月~2018年12月までの期間に市中病院で健康診断を受け、腎疾患の既往がなく、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73m2 以上であった2万6,888例 (男性:1万5,875例、女性:1万1,013例) を対象に横断研究を実施した。

 本研究では、週3日以上朝食を食べていない者を「朝食抜き」と定義。そのほか、対象者には喫煙、アルコール多飲、運動不足、睡眠不足、間食の有無、深夜/夕食時の生活行動、既往歴(高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中・高尿酸血症・冠動脈疾患)についてアンケートを行った。また、朝食抜きと蛋白尿の有病率との関連性はBMI(kg/m2)を3つのサブグループ(男性:<22.2、22.2~24.5、≧24.5 女性:<19.3、19.3~21.6、≧21.6)に区分し比較した。

 朝食抜きと蛋白尿(ディップ・スティック法で蛋白尿が1+以上と定義)の有病率との関連については、臨床的に関連する要因で調整されたロジスティック回帰モデルを使用して評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象者の平均年齢±SDは男性が49±11歳、女性が48±12歳だった。
・対象者のうち朝食を抜いていたのは、男性が3,306例(20.8%)、女性が1,514例(13.8%)で、朝食を摂取している人と比較して、喫煙者、アルコール多飲、間食を取る、運動習慣が低いなどの傾向があった。
・ロジスティック回帰分析の結果、「朝食を抜く」ことは 蛋白尿の有病率と有意に関連していた。
・この関連性は、臨床的に関連する要因を調整した後でも、BMI の低い対象者で顕著だった(調整オッズ比は、男性がBMI <22:1.67[1.17~2.38]、女性がBMI <19.3:1.92[1.31~2.82]とBMI 19.3~21.6:1.75[1.07~2.86])が、BMIが高い対象者ではそのような結果は見られなかった。

(ケアネット 土井 舞子)

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