切除不能のStageIII非小細胞肺がんに免疫放射線療法 化学療法は省略できるか(DOLPHIN)/WCLC2022

デュルバルマブは切除不能のStageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)後の地固め療法として標準治療となった。 しかし、患者の25%はCRTによる全身状態の低下によりデュルバルマブ治療を受けられない。一方、放射線治療と免疫治療は相乗効果がある。そこで、切除不能のStageIII NSCLCに対し化学療法を省きデュルバルマブを用いた、免疫放射線療法を評価する第II相DOLPHIN試試験(WJOG11619L)が行われた。神戸大学の立原 素子氏が世界肺癌学会(WCLC2022)で発表している。
・対象:切除不能のPD-L1陽性(≧1%)StageIIIまたは術後再発NSCLC
・介入:放射線(60gy)+デュルバルマブ(10mg/kg)2週ごと、を進行または忍容できない毒性発現まで投与(n=35)
・評価項目:
[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による12ヵ月無増悪生存(PFS)率
[副次評価項目]PFS、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、治療完遂率、遠隔転移者は 死亡までの期間、安全性
主な結果は以下のとおり。
・ICR評価の12ヵ月PFS率は72.1%であった。
・ICR評価のORRは20%、BCRは100%であった。
・Grade3/4の有害事象は47.1%、Grade5は5.9%で発現した。
・肺臓炎または放射性肺臓炎は全Gradeで61.8% 、Grade3/4では11.8%であった。
放射線+デュルバルマブ療法は、主要評価項目である12ヵ月PFS率を達成した。立原氏はこの治療戦略は忍容性が高く有望だと考えられる、と述べている。
(ケアネット 細田 雅之)
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