早期乳がんへの術前抗HER2療法+アテゾリズマブ、pCR61%(Neo-PATH)/JAMA Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/02

 

 ERBB2(HER2)陽性早期乳がんに対して、抗HER2療法にアテゾリズマブを加えた術前療法は病理学的完全奏効率(pCR)61%を示し、毒性は穏やかであることが示された。韓国・Gachon University Gil Medical CenterのHee Kyung Ahn氏らによる第II相Neo-PATH試験の結果が、JAMA Oncology誌オンライン版2021年10月7日号に報告された。

 Neo-PATH試験は、前臨床試験で相乗効果が示されたERBB2陽性早期乳がんに対するアテゾリズマブ、ドセタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブの術前療法の有効性を検討する非無作為化オープンラベル多施設共同第II相試験。韓国の6施設から2019年5月~2020年5月にかけて患者が登録された。対象は、Stage IIまたはIIIのERBB2陽性乳がん(原発巣サイズ2cm以上または病理学的リンパ節転移陽性、遠隔転移なし)。

 3週間ごとに術前療法としてペルツズマブ(初回840mg、2回目以降420mg)、アテゾリズマブ(1,200mg)、ドセタキセル(75mg/m2)、トラスツズマブ(600mg)を6サイクル投与し、その後手術が行われた。pCRが得られた症例には、術後3週間ごとにアテゾリズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブの投与を12サイクル実施し、pCRが得られない症例には、アテゾリズマブ(1,200mg)、トラスツズマブ・エムタンシン(3.6mg/kg)を3週間ごとに14サイクル投与した。

 主要評価項目はpCR率(ypT0/isN0)。副次評価項目は、臨床的客観的奏効率、pCR達成状況に応じた3年無イベント生存率、無病生存率、全生存率、毒性、QOLであった。

 主な結果は以下のとおり。

・計67例の女性(年齢中央値52[33~74]歳)が登録された。ホルモン受容体陽性は32例(48%)であった。
・治療中に病勢が進行し、切除不能となった症例が2例あり、65例に根治手術が行われた。
・全体のpCR率は61%(67例中41例)であった。
・pCR率は、ホルモン受容体陽性例と比べ陰性例で高く(32例中14例[44%]vs.35例中27例[77%])、PD-L1陰性例と比べ陽性例で高かった(13例中13例[100%]vs.53例中28例[53%])。
・Grade 3以上の有害事象は21例(31%)で発生し、多くみられたのは好中球減少症8例(12%)と発熱性好中球減少症5例(8%)であった。術前療法期における治療関連死は発生していない。

 著者らは、ERBB2(HER2)陽性早期乳がんに対する、抗HER2療法にアテゾリズマブを加えた術前療法は許容可能なpCR率と穏やかな毒性作用を有していることが示されたとし、大規模な無作為化試験で引き続き検証する必要があるとまとめている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)