熱中症の経験ありは35.7%、毎年経験は2.7%/アイスタット

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/30

 

 2022年の夏は、例年になく長く、猛暑になるとの予報がでている。そして、夏季に懸念される健康被害の代表として「熱中症」がある。厚生労働省から新型コロナウイルス感染症予防のマスクの着脱も夏を前に発表されたが、まだ時期早々という社会的な雰囲気からか浸透していない。実際、熱中症の経験や今夏のマスク着用の考え、熱中症の予防などについて、一般の人はどのよう考えているのだろうか。株式会社アイスタットは、6月13日にアンケートを実施した。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~69歳の有職者300人が対象。

調査概要

形式:WEBアンケート方式
期日:2022年6月13日
対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~69歳/全国の有職者)を対象

アンケートの概要

・熱中症の「経験あり」は35.7%、「経験なし」は64.3%。毎年経験は2.7%とわずか。
・熱中症経験者の要因は、第1位「水分をこまめにとるのを忘れていた」の48.6%
・熱中症の予防対策を行っている人は58%。熱中症の経験がある人ほど行っている。
・「屋外でマスク着用を義務付けない」という新しい方針に対し、「常に着用する」が33%といまだ多い。
・汗をかきやすいと回答した人の熱中症の経験有無は、大きな差がみられない。
・熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の飲みものの違い、第1位「麦茶」
・熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の生活習慣の違い、第1位「食欲不振が増える」
・1年を通して健康障害が起りやすくなる時期は、第1位「8月」、第2位「7月」。

熱中症経験者の夏季の水分補給は「麦茶」が人気

 質問1で「今までに熱中症になったことがあるか」(単回答)を聞いたところ、「今までに一度もない」が64.3%、「今までに数回」が28.7%、「毎年ではないが経験したことは多い」が4.3%、「毎年、経験している」が2.7%の順だった。熱中症の経験の有無別に分類すると「経験あり」は35.7%、「経験なし」は64.3%で、3人に1人が熱中症を経験していた。また、「毎年、経験」を回答した人の属性をみると、「50代」「女性」「既婚」「関東地方」で多かった。一方、「今までに、一度もない」を回答した人の属性は、「60代」「男性」「未婚」「中国・四国・九州地方・沖縄」で多かった。

 質問2で「(質問1で熱中症経験ありと回答した107名に対し)熱中症になったときの様子」(複数回答)を聞いたところ、「水分をこまめにとるのを忘れていた」が48.6%、同率で「寝不足や疲れなどで体調が悪かった」、「長時間、屋外にいた」、「真夏日・猛暑日であった」が41.1%だった。水分摂取不足だけでなく、複合的な要因で熱中症が起こることが示唆された。

 質問3で「熱中症にならないように、毎年、予防対策を行っているか」(単回答)を聞いたところ、「どちらかといえば、行っている」が46.7%、「どちらかといえば、行っていない」が25.0%、「まったく行っていない」が17.0%、「常に行っている」が11.3%の順だった。熱中症の予防対策の有無別に分類すると、「行っている」は58%、「行っていない」は42%で、過半数を超える人が予防対策を行っている一方で、対策をしていない人も多く、これからの予防啓発の必要性をうかがわせる結果だった。

 質問4で「夏シーズンが終わるまで、マスクの着用をどうするか」(単回答)を聞いたところ、「高温多湿の状況により、マスクの着用有無を使い分ける」が59%、「常にマスクを着用する」が33%、「常にマスクを着用しない」が8%の順だった。回答では状況を勘案して使い分ける人が多かったが、「常にマスクを着用」では、「熱中症経験なし」「20・30代」「男性」「北海道・東北地方」の回答者が多かった。その一方で「常にマスクを着用しない」では、「熱中症経験なし」「20・30代」「男性」「四国・中国・九州地方・沖縄」の回答者が多かったことから、回答に地域差がみられた。

 質問5で「汗をかきやすいか」(単回答)を聞いたところ、「どちらかといえば、そう思う」が44.0%、「非常にそう思う」が28.0%、「どちらかといえば、そう思わない」が20.7%、「まったくそう思わない」が7.3%の順だった。汗のかきやすさ有無別に大きく分類すると、「そう思う」は72%、「そう思わない」は28%で回答者の約7割が「汗をかきやすい」と回答していた。

 質問6で「夏の時期に毎日1回以上飲むもの」(複数回答)を聞いたところ、「水・ミネラルウォーター」が47.7%、「麦茶」、「緑茶・ウーロン茶など茶系統」が同率で35.7%だった。熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の飲みものの主な違いは何かを「ある人」を基準に調べたところ8.5ポイントで「麦茶」、8.0ポイントで「アルコール」だった。「麦茶」は熱中症予防に良いと言われており、熱中症を経験したからこそ、リスク回避(予防)のために回答数が多いものと予想された。

 質問7で「夏の生活習慣で、あてはまること」(複数回答)を聞いたところ、「冷たい物や飲み物をとる機会が増える」が63.0%、「入浴はシャワーですませることが多い」が37.0%、「運動不足がちとなる」の30.3%と続いた。なお、熱中症の経験が「ある人」と「ない人」の生活習慣の主な違いは何かを「ある人」を基準に調べたところ、「食欲不振が増える」が10.9ポイント、「シャワーや入浴の温度設定は平均39℃以下」が8.7ポイント、「寝不足・睡眠不足を感じる日が増える」が8.5ポイントの差であった。

 質問8で「1年を通して、気圧・気温などの理由で、健康に障害が起りやすくなることがあるか。また、起りやすい月について」(複数回答)を聞いたところ、「なし」が42.3%、「8月」が20.0%、「7月」が18.7%、「6月」が15.7%の順だった。いずれも上位の月が暑い時期に集中し、夏季に健康障害が起りやすい傾向がうかがえた。

(ケアネット 稲川 進)