日本人双極性障害外来患者の3年間の臨床アウトカムに影響を及ぼす要因~MUSUBI研究

双極性障害患者の長期的な臨床アウトカムの予測因子に関するエビデンスは限られている。獨協医科大学の菅原 典夫氏らは、日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査「MUSUBI研究」に参加した双極性障害患者を対象に、3年間の臨床アウトカムに影響を及ぼす予測因子を特定しようと試みた。その結果、フォローアップ期間中に持続的な寛解が得られる患者は少なく、臨床アウトカムに個々の人口統計学的および臨床的特徴が影響を及ぼしていることが示唆された。Journal of Psychiatric Research誌2022年7月号の報告。
双極性障害の外来患者1,647例を対象にした研究
MUSUBI研究は、実臨床における双極性障害患者を調査するための自然主義的な多施設共同研究である。本研究では、2016年、2017年、2019年に登録された双極性障害の外来患者1,647例を対象に、ベースライン時、1年後および3年後のデータを抽出し評価を行った。臨床アウトカムとして、フォローアップ期間中における1年間のうつおよび躁症状の存在、53週以上の持続的な寛解を評価した。MUSUBI研究に参加した双極性障害患者を対象に3年間の臨床アウトカムに影響を及ぼす予測因子を特定しようと試みた主な結果は以下のとおり。
・3年間の評価期間中に持続的な寛解が得られた患者では、ベースライン時のパーソナリティ障害の診断および持続的な寛解期間と有意な関連が認められた。
・フォローアップ期間中における1年間にうつ症状が認められた患者では、ベースライン時の仕事の状態、機能の全体的評定(GAF)尺度、自殺念慮、持続的な寛解期間と有意な関連が認められた。
・3年間の評価期間中、持続的な寛解が得られた患者は318例(19.3%)、寛解に到達しなかった患者は782例(47.5%)であった。
(鷹野 敦夫)
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