MCL高齢患者、BR-R療法+イブルチニブでPFSが2.3年延長/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/14

 

 マントル細胞リンパ腫(MCL)の高齢患者は、過度の毒性のため集中的な化学療法や移植には適さない。ランダム化プラセボ対照二重盲検PhaseIIIのSHINE試験は、現在の初発MCL患者に対する標準的治療の一つであるベンダムスチン+リツキシマブ(BR療法)およびリツキシマブ(R)維持療法に、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTKi)イブルチニブを併用することの有用性を見たもの。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのMichael L.Wang氏が結果を発表し、NEJM誌に同時掲載された。

・対象:65歳以上のMCL患者。MIPIスコア(低中高リスク)によって層別化され、B(90mg/m2)とR(375mg/m2)6サイクルを投与し、イブルチニブ(560mgを毎日経口投与)群とプラセボ群に1:1でランダム化。CRまたはPRを達成した場合はRの維持を受け、両群で最大12サイクルを8週間ごとに実施。イブルチニブとプラセボは、病気の進行または許容できない毒性になるまで投与。
・対照群:BR-R維持療法+プラセボ
・評価項目:
[主要評価項目]治験責任医師が評価した無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]奏効率(ORR)、次治療までの期間、全生存期間(OS)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2013年5月~2014年11月に日本を含む183施設で523例が登録された。
・一次分析時点の追跡期間中央値は84.7ヵ月だった。両群でPFSが大幅に改善され、主要エンドポイントが満たされた(ハザード比:0.75、p= 0.011)。
・PFS中央値はイブルチニブ群80.6ヵ月(6.7年)、プラセボ群52.9ヵ月(4.4年)よりも2.3年改善された。
・ORRは、イブルチニブ群65.5%、プラセボ群57.6%だった(p=0.0567)。
・OSは両群で差がなかった(p=0.648)。
・次治療までの時間はイブルチニブ群で未到達だったが、プラセボ群より長い傾向が見られた。イブルチニブ群52例(19.9%)およびプラセボ群106例(40.5%)がその後の抗リンパ腫療法を受けた。
・Grade3または4の有害事象の発生率は、イブルチニブ群81.5%、プラセボ群77.3%だった。BTKiの臨床的に重要な有害事象のうち、心房細動はイブルチニブ群13.9%とプラセボ群の6.5%で報告された。出血、高血圧、関節痛の発生率は両群で類似していた。QOLも両群で同様だった。

 この結果によって、初発の高齢MCL患者に対するBR療法+R維持療法とイブルチニブの併用は、高齢あるいは自家造血幹細胞移植(ASCT)不適格の未治療MCL患者に対する新たな1次治療となりうることが示された。

(ケアネット 杉崎 真名)

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