統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的効果

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/25

 

 米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的効果について評価を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2022年3月1日号の報告。

 次の(1)~(3)の試験データ(2011年7月~2016年2月に実施)を用いて、検討を行った。(1)入院患者を対象とした6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験:3件、(2)52週間のランダム化二重盲検プラセボ対照長期試験(中間分析結果に基づき早期試験終了):1件、(3)すべての統合失調症患者(DSM-IV-TR基準)を対象とした52週間の非盲検延長試験:2件。経口ブレクスピプラゾール治療に割り当てられた患者に対するブレクスピプラゾールの投与量は、短期試験で2~4mg/日、長期試験で1~4mg/日であった。機能評価には、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)および機能の全体的評定尺度(GAF)を用いた。治療反応は両尺度の10ポイント以上増加、寛解はPSPスコア71点以上またはGAFスコア61点以上と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・ブレクスピプラゾール群(831例)は、プラセボ群(490例)と比較し、ベースラインから6週目までのPSPスコアのより大きな改善が認められた(最小二乗平均差:3.20、95%信頼区間:1.82~4.58、p<0.0001、Cohen d=0.31)。PSPの4項目においても同様であった。
・52週間の長期試験(早期終了に伴い完了率は低い)では、安定期統合失調症患者におけるGAFでの機能寛解の達成率は、ブレクスピプラゾール群で65.3%(95例中62例)、プラセボ群で47.1%(102例中48例)であり、NNTは6であった(95%信頼区間:4~22、p=0.0076)。
・52週間の非盲検試験(177例)では、ブレクスピプラゾール群のPSPでの機能の治療反応の達成率は84.2%、寛解の達成率は41.8%であった。

 著者らは「今回の大規模データセットの分析は、実薬対照群の欠如による制限は受けるものの、統合失調症患者の機能に対するブレクスピプラゾールでの短期的および長期的な臨床改善を示唆するものである」としている。

(鷹野 敦夫)