日本人アルコール依存症の重症度が治療経過に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/19

 

 エビデンスの蓄積によりアルコール依存症の重症度と再発リスクとの関連が示唆されているが、依存症の重症度が疾患経過に及ぼす影響は十分に評価されていない。久里浜医療センターの吉村 淳氏らは、入院治療後の経過に対するいくつかのアルコール依存症重症度指数の影響を調査した。Alcoholism, Clinical and Experimental Research誌オンライン版2021年9月29日号の報告。

 本プロスペクティブ研究は、専門病院でのアルコール依存症治療後12ヵ月間にわたり実施した。連続して入院したアルコール依存症患者712例が入院時に登録の対象となり、フォローアップ調査には637例が登録された。患者の特徴および重症度は、入院時に複数の手法を用いて評価し、退院後には飲酒行動に関する質問票を用いて郵送にて継続的にフォローアップを行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ICD-10診断基準によって評価した依存症の重症度の高さは、研究期間中の断酒率低下と関連が認められた(p=0.035)。
・ベースライン時の血中γグルタミルトランスフェラーゼ値(p=0.031)およびアルコール依存症尺度(ADS)スコア(p=0.0002)の増加は、断酒率の有意な低下と関連していた。
・多変量Cox比例ハザード分析では、ADSスコアが最も悪い群は、最も良い群と比較し、飲酒再発リスクが有意に高かった(HR:2.67、p=0.001)。
・依存症の重症度は、飲酒パターンとも関連しており、制限された飲酒および断酒した群では、飲酒状況が悪い群と比較し、入院時のADSスコアがより低く(p=0.001)、初回飲酒時の年齢がより遅かった(p<0.001)。

 著者らは「本研究は、複数の手法による調査結果に反映されているように、より重度のアルコール依存症は、治療後の経過不良を予測していることが示唆された。このことから、治療開始時に依存症の重症度を評価することは、治療アウトカムの予測および追加の支援が必要な患者を顕在化させるために役立つ可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)